母校での授業
2年続けて
3月16日(水)、高田高校の2年生(240人)向けに主権者教育の特別授業をしてきました。
学校から新潟県弁護士会「学校へ行こう委員会」にオファーがあり、私が担当することになったという経緯です。高田高校では、昨年度の5月にオンラインでキャリア教育の授業をしたことがあり、2年続けてお邪魔することになりました。
授業の準備
先生からは、「主権者教育の授業を」ということと、「もし時間があれば、18歳成人への備えという点についても触れて欲しい」とのご要望をいただいていました。
そこで、昨年7月に新潟高校の2年生向けに行った主権者教育の授業でお話したことをメインにしつつ、先日の上越高校での授業でお話したことをミックスする形で準備することにしました。
内容がやや広めだったこともあり、タイトルは「私が成人する前に知っておきたかったこと」にしました。
授業の内容
全体の流れ
全体の構成は、こんな感じです。
はじめに
最初に自己紹介。高田高校の卒業生であるということと、弁護士を志したきっかけなど、いつもより少し長めにお話しました。
その後に、18歳成人に関するお話。あくまで導入としての位置づけなので、クイズを出しながら、変更点や注意点をさらっと確認しました。
「個人の尊重」をどうやって実現するか
選挙、予算、法律についてクイズを交えてやりとりしながら、「法律の存在意義」、「憲法の構造」、「国家機関相互の関係」という3つの視点から、「個人の尊重」を実現するための仕組みについてお話しました。
おわりに
「終末時計」の話を入り口に、世界の状況を確認したうえで、以下のようなことをお話しました。
よく社会のことや世界のことに関心を持ちましょうなどと言われたりするが、こちらが関心を持っているかどうかにかかわらず、地球で暮らしている以上、無関係ではいられない。温暖化にしても核兵器の拡散にしても、自分だけがその影響から逃れるということは、性質上できない。どうせ無関係ではいられないのであれば、関心をもって、積極的に関わった方がいいと思う。例え話で言うと、沈みゆく船に乗っている人が「自分は船が沈むかどうかについては関心がない」と言っていたらおかしい。
また、問題の規模や深刻度が大きいので、他人任せにしていてどうにかなる問題ではない。みんなで知恵を出し合って、アイデアを出し合って、解決に向けた取り組みをしていかないといけない。そのために求められるのが、「異なる意見の人と話して、相互理解を深めたり、新しい考えに辿りついたりする力」=対話力。
異なる意見の人同士が話をすることで、理解が深まったり、それまではまったく考えていなかった新しい考えに辿りついたりできる。その意味では、異なる意見の人同士はお互いを必要としているということもできる。
そして、対話をするときの順序や、注意点についてお話しました。
全体で1時間弱の授業でしたが、生徒さんたちは時折メモをとりながら、真剣に話を聞いてくれました。
生徒さんの感想
対話について
- 「異なる意見を持つ人は自分の考えやその他の意見に対する理解を深めるために必要」という考え方がこれまでの私にはなかったので、新しい気づきを得ることができた
- 対話をするときは相手を論破するのではなく、相手の意見を聞き入れて話し合うことで議論が深まるということが分かった
- 相手を論破するのではなく、相互理解を深めるという考えを大切にしていきたいです
- ただ言い合うのではなく、相手を尊重して話し合うことが大切だなと思いました
- 最後の方におっしゃっていた相手との共通点を見つけるということが大事だと感じたのでこれから意識していきたいと思います。ありがとうございました。
- これからは多様性の社会だと思うので、異なる意見の人とたくさん交流し、相手を偏見で決めつけないで、そういう見方・考え方もあるんだなぁくらいで受け止めることができたらいいなと思いました
- 最後の、人と対話するときに必要なことを聞くことができてとてもよかったです
- 人との対話のうえで互いに尊重することについては、今後も心に留め、成人するという自覚を高くもち過ごしたいと思う
- 対話は本当に大切だと思います。相互理解のために相手を受け入れ、かつ自分の意見を軽視してもいけないので難しいと思いましたが、平和のためには対話は全ての人がしなければならないと思います。
- 対話をするときに相手の話をよく聞く→共通点を探して共有→自分と相手の意見が違う理由を考える→自分の考えを伝えるということを心がけたい
- 対話する際のポイントなども学ぶことができたのでこれから意識して取り組んで行きたいです
- 自分とは違う意見を持った人とのコミュニケーションという面では今後いろいろな人と出会う機会があると思うので意識していきたいと思った
- 今日学んだことをいかして社会に出たときに他者とよりよい関係を築いていきたい
- 対話のポイントを意識して人と関わっていきたい
- 人との接し方などこれから必要になってくることが多いので話が聞けてよかった
自分ごととして捉える
- 関心を持つかどうかのところで船の例を出して話して下さり、わかりやすかったです。
- 今の地球を沈没しそうな船に例えた話がとても心に残った。自分にできることを考えたい。
- 自分とはあまり縁のない内容なのかなと思っていたが、これからの未来を引っ張っていくのは私たちだし、政治の仕組みやSDGs関連のことなどに興味を持って行きたい。
- 他人事だとは思わず、自分のこととして社会の問題に目を向けられるようになりたいと思った
- 自分事としてとらえ、考えなければいけない話題だった。今まであまり教えられてこなかったため、良い機会だった。
- 様々な問題に対して自分に関係ないと思わず、積極的に行動できる人になりたいと思いました。
- 自分の周りのことや社会のことについて考えるきっかけになってよかった
社会のことや世界のこと
- 最後の方の現代的な課題のところが聞いていて面白かったです。
- 特に現代的な課題についての講演が面白く、元から関心があったので真剣に聞くことができました。
- 法律という枠を超えた世界規模の話を聞けてよかった
- 終末時計などの話が面白かったです。
- いま世界では、核兵器、地球温暖化といった課題があるので、こうした問題に向き合って、最悪の事態が起きないように世界規模でもっと真剣に考えようと思いました。
- 地球に関することから、政治に関すること、さらには対人関係についてなど、幅広いテーマについてのお話でとても貴重な経験になりました。ありがとうございました。
- 法律に関する身近なことから世界規模のことまで知らなかったことをたくさん知ることができ勉強になった
- 憲法の話から、地球が抱える問題まで幅広いお話をしてくださって、もうすぐ成人を迎える身として、知っておかなければいけないことが知れてためになった。
- 人生の先輩である方から有益な話を聞き、将来に役立つ話だなと思いました。身近な話題から世界の状況まで分かりやすく説明していただいたので、講演の内容がよく理解できました。
- 政治に関わるということは世界に関わるということなのだと思いました。成人になる前から少しずつ様々なことに興味を持っていきたいです。ありがとうございました。
憲法のことなど
- 民主主義でも、多数派が必ず正しい、正義だという訳ではなく、少数派の人たちのことを配慮しなければならないということがわかった。
- 現代の課題を解決するために、少数派の意見にも耳を傾けることが重要だということが分かった。
- 法律の存在意義や行政と法の関係について等、改めて深く知ることができて良かったです
- 個人の権利や自由と法律や憲法の関係についての話が初めて聞いたことだったので興味深かったです
- 行政権の肥大化という現代的な課題に対して、憲法の視点からどのように対処していくべきかというお話が面白かった
- 国会、内閣、裁判所の三権分立について教科書で習っていたことと実際の状況にズレがあり、その現実を踏まえて考えていかなければならないのだとわかった。すごく理解が深まった。
- 特に、司法、立法、行政、国民の関係について授業で学んではいたのですが、今回の講演でさらに深く知ることができました。ありがとうございました。
- 現社で学んだ社会の仕組みよりも、実際はかなり複雑であり、様々な問題があることを知ることができた。成人になるに向けてたくさんのことを学ぶことができ、とても良かった。
- 授業等ですでに知っていた話を深掘りしてくれて、理解しやすい内容だった。民主主義のブレーキと憲法のブレーキで私たちは守られていて、自分たちもまた守らなければならないと再認識できた
- 「不信任案は現実的にはほとんど通らない」など、リアリティがあって教科書的じゃないお話が面白かったです
- 憲法に関して分かりやすく説明されていて良かった
- 憲法の仕組みなどを詳しく知ることができてよかった。これから自分が生きていくうえできっと役立つと思う
- 経済や政治について興味があったものの、自分自身で調べることはなかったので、今日直接弁護士の方からお話が聞けてよかった。丁寧な説明で理解しやすかったし、これをきっかけにしていろいろ調べてみたいと思った。
- 今まで深く学ぶ機会があまりなかった法律の分野について知ることができて、とても興味深かったです
成人になるということ
- 成人するにあたって知っておくべき社会常識を教えていただき、成人するということはどういうことなのか深く考えるきっかけになりました。自分の知識を蓄えることは自分を守ることにつながるだけでなく、他人を守るためでもあると実感しました。ご講演いただきありがとうございました。
- ルールは、その意味を知らずにただ守るのと、意味を知った上で守るのとでは受け取り方に違いが出てくると思うので、成人年齢に近くなった今、再確認できてよかった
- 知っているつもりで詳しく知らなかったことを多く知れてとても勉強になりました。成人年齢が引き下がることによって今までの扱いと異なることが多くあり、とても実感がわきました。ありがとうございました。
- なんとなく知っていたけど、どんなものなんだろうともやもやしていた部分が晴れました。講演ありがとうございました
- 字が少なく、絵や図もあったのでスライドが見やすかった。成人年齢が引き下げられ、どのようなことができるようになったのかなど詳しく知れてよかった
- とてもわかりやすくて、18歳になって注意しなければならないことがたくさんあると思いました
- 正直弁護士の方は法律関係なので、少し内容がわかりづらいのかなと思っていたのですが、丁寧なご説明をいただき、これから18歳となる私にとってとても有益な時間になりました。
- 成人になって何を気をつけなければならないのか、改めて基礎から教えていただき、よい心構えができたと思います
ためになった、考えさせられた
- 全体的にためになる話が多かった。知らない内容もあってよかった。
- 非常に興味深い講演でした。ありがとうございました!
- 色々と考えさせられる講演だった
- 問題形式にしたり、よくわかっていないことを深掘りしてくれたり、聞きやすく、興味深い講演だった
- すご~く、よかったです!!参考になりました💘
わかりやすかった、面白かった
- 難しい内容の話もあったが、パワポも使って分かりやすく説明して下さったので、理解しやすかった。
- 図を用いて説明して下さったので、かなり分かりやすく法律や憲法について知ることができました
- 話の内容がキチンと順序立てされていたため流れが分かりやすかった
- クイズのおかげで眠らず話を聞けました。楽しかったです。
- とても分かりやすく、クイズなどを交えて話してくれたのでとても面白かった
- クイズ形式でとても楽しみながら聞くことができました。ありがとうございました。
- 身近にある話を分かりやすく講演していただけてとても理解しやすかったです。ありがとうございました。
- 知っていることを交えて話してくれて分かりやすかったです。
- 身近な話題も多く、分かりやすかったです
- 難しい話かと思っていたけど分かりやすかったです。いろいろなことに興味を持っていきたいです
- 説明がとても分かりやすかったです
- 話すスピードが聞きやすく、内容が頭に入りやすかった
- ゆったりとした声で聞き取りやすかった
- 話が聞きやすかったです
- 聞き取りやすい説明でためになりました
- どの話もとてもわかりやすく、面白かった
弁護士に関して
- 弁護士として経験した事例を交えてお話してくださった部分が面白かったので、また弁護士について今後聞くことができればいいなと思います。
- 難しくなく丁寧に話して下さったので分かりやすかった。弁護士ならではの話をもっと聞きたかったです
- 弁護士というと難しい法や裁判のイメージが強かったので、自分に身近な話が多くてよかった。
- 弁護士はドラマなどで見る刑事事件などのイメージしかなく堅苦しい感じしかなかったのですが、今回身近なことについて講演して下さり、本当に身近に感じられました。
- 高校生から弁護士になるまでの心の変化や勉強の大変さなどについてお話を聞きたいです
- 身近に弁護士がいないので新鮮な話が聞けてよかった
- 弁護士の方と会うのは人生初めてくらい縁がなかったので、こういう機会に身近に感じられてすごく貴重だった。その上で、成人した後気をつけるべきこととか、大事なことを聞くことができてよかった
- 今まで弁護士は自分とは遠い存在だと思っていましたが、今日の講演を聞いて身近に感じることができました。
- 弁護士というと堅苦しいイメージがあったけど、仕事内容は様々で、このように学校に出向いての講義もしていてすごいと思った。
薬害事件について
- 以前から問題になっている薬害について弁護士さんの口から実際に話を聞くことができて良かった
- 政治についての知識がほとんどなくなってしまっていたのでニュースなどを見ておこうと思った。薬害についても話があったので、そのことについても詳しく聞きたい。
- 弁護士の方のお話が聞けるというのはとても貴重だと思うのでよい経験になりました。薬害事件について興味を持ちました。
- 幅広いテーマについてお話があり、理解を深めることができた。また機会があれば薬害の裁判やその結果について詳しい話を聞いてみたいです。