キャリア教育@新井北小学校


学校へ行こう委員会への依頼

9月8日、新井北小学校の6年生向けに、キャリア教育の授業をしてきました。
新潟県弁護士会の「学校へ行こう委員会」に依頼があり、私が担当することになったものです。

キャリア教育ということで言うと、今年の5月に、高田高校の1年生向けに授業をしましたが、高校生と小学生ではまったく違うので、内容は改めてイチから準備することになりました。

授業時間が2限と3限の2コマ分確保されていたので、子ども達が途中で飽きてしまうのではないかという不安を感じながら学校へと向かいました。

歓迎ムード

授業前にプロジェクターとパソコンをつないでいると、子ども達が元気に挨拶しながら入ってきました。「おはようございま~す!」「あ、弁護士さんだ!なんか全然怖そうじゃないじゃん。」「っていうか優しそう。」「わたし弁護士見るのはじめて!」などなど、歓迎ムードをたっぷり漂わせてくれたので、とてもスムーズに授業に入ることができました。

話の流れは大体こんな感じ。

  1. はじめに~自己紹介
  2. 弁護士の仕事
    弁護士って何する人?
    弁護士の1週間
  3. 弁護士になるには?
  4. 弁護士の使命
    それぞれの正義と社会正義
  5. 将来の夢を考えるとき
    どうして弁護士になったのか
    自分がやりたいこと、社会が求めているもの
    世界はいまどうなっているのか

1コマ目

1コマ目は、1~4までをお話しました。クイズを出したり、問いかけをしたりしながら授業を進めたのですが、すべてにおいてとにかく反応がよく、とてもやりやすかったです。

2の「弁護士の1週間」では、私の実際のスケジュールから個人情報を除いたものを見せながら、それぞれの予定の概要を説明しました。

3の「弁護士になるには」のところは、弁護士バッジを回して見てもらいながらお話しました。ちょうどそのとき校長先生が授業の様子を見にいらっしゃっていて、「え~、これはすごいね!先生も触るの初めてだよ!」と喜んでくださいました。

4の「それぞれの正義と社会正義」のところでは、桃太郎のお話を題材にして、いろいろ考えてもらいました。同じ出来事でも立場によって見え方がまったく違ってくること、弁護士が関わる紛争の多くもそのような認識のズレが背景にあること、そのため弁護士には当事者それぞれの立場に基づく「正義」を理解し受け止める能力が求められること。ただ、そのように立場によって変わる正義とは別に、立場の違いを超えた「社会正義」があり、紛争の解決にあたってはその社会正義も念頭におかれるべきであること等々をお話しました。

やや高度な話だったので、繰り返し桃太郎の話に立ち戻りながら説明しました。担任の先生が、「すごくわかりやすかったです!やっぱり小学校6年生のお子さんがいらっしゃるからですかね~。さすがです!!」とお墨付きをくれたので、ほっとしました。

休み時間

休み時間になると、子ども達がたくさん私が座っている席のところに来てくれました。

机の上に置いてあった『模範六法』を開いて、「うわ~、なにこれ!こんなに小さい字なんだ!」「え~、こんなに分厚いの?何ページある?」「っていうかこれいくらくらいするんですか?」「これは老眼にはきつい・・・」などと、子ども達と担任の先生がやりとりしていました。

『弁護士バッヂ』と『模範六法』は、弁護士が学校で授業をする際、必ず持参すべき「鉄板アイテム」と言われていますが、その威力を実感しました。

2コマ目

2コマ目は、5の「将来の夢を考えるとき」の中の「どうして弁護士になろうと思ったのか」という話から。1コマ目は一般論でしたが、ここではマイストーリーを語りました。

続いて「将来の夢の探し方」についてお話しました。学校を卒業した後は社会に出ていくことになる。「社会人」という言葉からもわかる通り、社会の一員になるということ。職業を選択するということには、分業制で成り立っている社会の中で自分がどういう役割を果たすかを選ぶという意味がある。そういう点からすると、社会や世界の仕組みや現状、社会や世界がどういう問題や課題を抱えていて、それらを解決するためにどのようなことが必要なのかといったことも知っておいた方がよい。自分が好きなこと、得意なこと、がんばりたいことといった自分目線での視点とともに、社会が何を求めているのかという視点も持つことで、将来の夢がよりくっきりと描けるようになるのではないか、といった様なことをお話しました。

質問タイム

質問タイムでは、全員が一斉に手を挙げて、次々に質問をしてくれました。結局20人以上の質問に答えたので予定時間を大幅にオーバーしてしまいました。ただ、質問に対する回答のなかで、授業中に伝えきれなかったこともお話できたので、よかったと思います。

授業が終わった後にもやはり子ども達がたくさん寄ってきてくれて、さらにいろいろ質問を受けました。おとなしそうな子が「なんか今日の授業、楽しかった~。」「この間のは、なんかふわふわしてたけど、今日のはわかりやすくて、おもしろくてよかった。」「先生うちの学校のスクールロイヤーになってください!」などと言ってくれました。後で担任の先生が「普段はあんな風に言う子じゃないんです。ほんとうに楽しかったんだと思います」と教えてくれて、とっても幸せな気持ちになりました。

手紙が届く

授業のとき、弁護士会で使っているアンケート用紙を配っていたのですが、そのアンケートだけではなく、クラスの子全員が私宛に手紙を書いてくれました。添えられていた先生のお手紙には、「田中先生は子ども達の目線で、優しく分かりやすくお話してくださったので、子ども達の心に残る言葉がたくさんあったようです。つたない文章ではありますが、田中先生のお話を聞いて学んだことを手紙にしましたので読んでいただけたら幸いです。」と書かれていました。こんなことをしてもらったのは初めてなので、感激しました。そのうちのいくつかをご紹介します。

「楽しすぎてもっと話を聞きたいと感じました。また聞きたいです。」

「田中さんの声が耳の中にすらすら入ってきて聞きやすかったです。みんなが質問したことへの答えもわかりやすかったです。大切な弁護士バッヂも見せてくれてやさしかったです。」

「すごくわかりやすく頭に入ったので、楽しかったです。正義は1つじゃないということがわかってよかったです。」

「教え方が分かりやすくてよく頭に入ってきました。」

「話し方など聞きやすいし、わかりやすく話をまとめていて、とってもよかったです。また来てください。」

「楽しくわかりやすく説明してもらえてうれしかったし、質問にすぐ答えていてすごいと思いました。とても楽しい時間でした。」

「弁護士、検察官、裁判官のバッヂには、それぞれに意味があるというお話が心に残りました。」

「同じことでも立場によって見え方がぜんぜん違うという話が、なるほど~と思いました。相手の立場にたって考えたり、気持ちを思ったりすることが大切だと感じました。正義というのは、みんなが笑顔になることだと思いました。田中さんの話を聞いてよかったです!」

「自分が正義だと思っていても反対から見るとそうじゃないこともあるというのが一番心に残りました。いろんな角度から見ることも大切だと思いました。」

「人の命や健康を犠牲にしてまで薬が売られていたという薬害事件の話に驚きました。社会正義を実現することの大切さと大変さがわかりました。」

「自分の体験談もいろいろ話してくれて面白かった。話を聞いていて、この人になら相談したい!と思えました。」

「弁護士のことは興味がなかったけど、今日の話を聞いて裁判を見てみたくなった。すごく興味がわいた。」

「いままで弁護士は遠い存在でしたが、今日の話を聞いて素晴らしい仕事だと感じました。努力家で常に前向きなのがすごいと思いました。」

「私が心に残ったお話は、将来のことです。今ははっきりした目標などはないけれど、得意なことやがんばりたいことから考えたらいいんだとわかりました。私も人前で話すのが苦手なので一生懸命努力したいです。」

「田中さんのおかげで自分の未来や将来の夢が見えてきました。田中さんはみんなの宝物です。みんなの心の中にしまっておきます。またお話を聞けたらうれしいです。」

今後も

キャリア教育は、他の授業と比べると準備の負担がそれほど大きくないですし、どうして弁護士になったのかといった質問に答えるなかで初心に返ることができるので、今後も機会があればぜひチャレンジしたいと思います。