豪雪災害における被災自治体への支援制度


はじめに

生活道路の除雪・排雪が極度に遅れているために、市民生活に多大な影響がでています。また、屋根の雪下ろしができないことにより、「建物被害」も多く発生しています

「35年ぶり」、「観測史上最多」の大雪であるため致し方ない面もありますが、過去の大雪時の対応と比較しても、対応の遅れが目立ちます。

その要因には様々なものがあり、決して単純な問題ではありませんが、外部への支援要請が十分になされていないことも大きく影響しているように思われます。既に時機を逸している感も否めませんが、今後のためにも制度の概略をまとめてみました。

1 国による支援

防衛省 自衛隊の災害派遣

(1)やれること

以下の条件を総合的に勘案して決定します。
・緊急性  人命または財産を保護しなければならない差し迫った必要性
・非代替性 他の適切な手段がないこと
・公共性  公共の秩序を維持する観点に照らし妥当性があること

(2)これまでの実績

例えば、「平成18年豪雪」においては、孤立予想世帯、高齢者世帯、緊急車両の通行確保のための除雪作業を、以下の通り行っています。
画像は「豪雪地帯における安全・安心な地域づくりについて提言」から

国土交通省 緊急災害対策派遣隊(TECーFORCE)

(1)やれること

以下の事項に対する技術的な支援。
・被災状況の迅速な把握
・被害の拡大の防止
・被災地の早期復旧

(2)これまでの実績

平成26年2月豪雪では、孤立集約を解消するために、除雪用機械を派遣し、自衛隊とも連携して道路を啓開する活動を実施しています。

また、平成26年12月豪雪では、地方公共団体と協力して、孤立集落への物資輸送活動を実施しています。

2 地方自治体や業界団体による支援

チームにいがた

(1)概要

県内で大規模災害が発生した場合に、県と県内市町村が連携して、被災市町村に人的支援を行うための取り決めです。「チームにいがたによる相互応援等に関する協定書」

(2)手続き

・県が応援ニーズを把握するため先遣隊を派遣
・対応困難な大規模災害が発生し、応援が必要となった場合、市町村は、先遣隊と調整のうえ、県に対して応援を要請する
・応援要請を受けた県は、速やかに県職員の派遣調整を行うとともに、県内市町村に対して、チームにいがたへの参加を依頼する
・県は、県内市町村からの回答をとりまとめて、応援計画を調整する
・県と県内市町村は、応援計画に基づいて職員を派遣し、応援を実施する

災害時応援協定

(1)概要

上越市は、災害時に迅速な応急対策などを実施するために、他の自治体や民間団体と災害時応援協定を締結しています。

協定締結先は、こちらの一覧の通りで、142団体にのぼります。
締結先には、長野市、米沢市、室蘭市など、降雪地域の自治体も含まれています。

(2)これまでの実績

「平成18年豪雪」では、多様な組織による広域的な支援が実施されています。

  • 消防本部及び消防団から延べ780人が派遣され要援護世帯の除雪作業を実施
  • 県建設業協会から、除雪機械が提供されるとともに、延べ294人が派遣され要援護世帯の屋根雪除雪作業を実施
  • 応援協定に基づいて他の自治体から派遣された役所職員が、公共施設や民家の除雪活動を行った

おわりに

災害救助法が適用されていることからも明らかな通り、今回の豪雪は紛れもなく災害です(災害対策基本法2条1号の「豪雪」)。除雪業者の方々も、市の職員の方々も、不眠不休でご対応いただいていますが、災害に対して「平時」の体制で立ち向かっても破綻してしまうでしょう。現に、要援護世帯への除雪支援が滞るなど、深刻な影響がでてしまっています(NHKニュース)。

平成18年豪雪のときのように、「多様な組織による広域的支援」を実現するべきではないでしょうか。支援制度は、いずれも被災自治体からの要請が契機となって機能する仕組みとなっています。つまり、市が要請しなければはじまらない一方、市が要請するうえでどこかの許可がいる訳でもありません。今回、支援制度の利用が一部にとどまっているのが、いかなる政策的判断に基づくのかはわかりませんが、市民の命を守るために最善を尽くす自治体・首長であって欲しいと思います。