つれづれ語り(新しい「社会の変え方」を模索して)


『上越よみうり』に連載中のコラム、「田中弁護士のつれづれ語り」。

2021年10月27日付に掲載された第121回は、「新しい「社会の変え方」を模索して」です。篤子弁護士が、ブラック校則や新しい学習指導要領を入り口に、新しい「社会の変え方」について考えたことを語っています。

新しい「社会の変え方」を模索して

1 「ブラック校則」後日談

前回のコラムで、「上越市の学校でもブラック校則の見直しを」と呼びかけましたが、その後、息子から「学校で、ツーブロック禁止等の校則について話し合いをした」と報告を受けました。そのきっかけや詳細までは分かりませんが、そのような機会が設けられたことを嬉しく思いましたし、息子も嬉しそうでした。自分たちが過ごす学校生活のルールについて、当事者である生徒たちが自ら考え、教師や保護者と共にその見直しを検討することは、文部科学省が新学習指導要領において目指している「目の前の事象から解決すべき課題を見いだし,主体的に考え,多様な立場の者が協働的に議論し,納得解を生み出す資質・能力」の育成に資する、とても意義のある取り組みだと思います。ぜひ、多くの学校で校則見直しの取り組みを広げてほしいと思います。

2 子どもだけでなく大人こそ

さて、学校の外の現実社会は、人工知能(AI)、ビッグデータ、Internet of Things(IoT)、ロボティクス等の先端技術が高度化してあらゆる産業や社会生活に取り入れられた Society5.0の時代が到来しつつあります。こういった社会の変化は、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大により加速度を増し,ますます複雑で予測困難となっているように思います。他方、環境汚染、気候変動、紛争やテロ、貧困など、地球規模の諸課題も深刻度を増し、持続可能な社会を作っていけるかどうかの瀬戸際にあると言っても過言ではありません。

このような時代において、上記新学習指導要領が掲げている「課題発見能力」「主体的思考力」「多様な立場の物が共同的に議論し、納得解を生み出す資質・能力」は、実は、子どもたちではなく、何よりもまず私たち大人が身につけなければいけないものではないかと思います。

3 まずはやってみました

普段は生活に追われてそのような能力を培う機会はなかなかない私たちですが、せめて選挙のときくらいは、身の回りの問題から課題を発見し、議論する経験を積みたいもの。そのような思いもあり、先日、『どうする?上越市~候補者のいない政策トークイベント~』を開催しました。淳哉弁護士と分担して、『子育て支援・人口減少』『空き家・まちづくり』という2つのテーマで、それぞれ各自で問題の現状や課題を調べ、発表し、互いに議論しました。これまでに、『子育て~』の方は500回以上、『空き家~』の方は300回以上の視聴回数になりました。多くの方にご覧いただき、また、感想を寄せて下さった方もいて、大変嬉しく思っています。

実施してみた感想は、何よりもまず、自分たち自身にとってとても勉強になるということ。誰かに頼まれたわけでもなく、自ら主体的に考えるからこそ、見えてきたものがあるように思います。政治家任せにも、子どもたち任せにもしない、自分たちの力で社会を変えていくための小さな一歩を踏み出せたような気がします。


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