つれづれ語り(節目にあたり)


『上越よみうり』に連載中のコラム、「田中弁護士のつれづれ語り」。

2021年1月6日付に掲載された第100回は、「節目にあたり」です。
100回の節目にあたり、改めて決意を表明する内容となっています。

節目にあたり

おかげさまで、本コラムの連載が100回目を迎えました。改めまして、いつもお読みいただいている皆様に、心からの感謝を申し上げます。節目にあたる今回は、私がどのようにしてこのコラムを書いているのかについて語りたいと思います。

整理・編集とストック 

情報化社会と言われるようになって久しいですが、私たちのもとには、テレビ、新聞、インターネット、SNSなど各種メディアを通して、日々新しい情報が洪水のように押し寄せてきます。それ自体は大変有用で、ありがたいことではありますが、情報の大半は細切れになってしまっているため、それを見ただけで、その情報の意味するところを正確に把握するのは困難です。このため、断片的な情報を整理・編集して、意味づけを与える作業が必要となります。

また、膨大な情報を浴び続けると、大切なことを忘れたり、見失ったりしてしまいがちです。このため、日々流れてくる「フロー」情報の中から、「ストック」しておくべきものを拾い上げ、まとめることによって、忘れてしまったとしてもすぐに思い出せるようにしておくことも大切です。

切り抜き

このような作業をするうえで非常に役立つのが、新聞の切り抜きです。

自分が興味を持っているテーマや、社会的に問題となっているテーマに関する記事を切り抜き、テーマ別に仕分けして、クリアファイルに挟みます。切り抜きを挟んだクリアファイルは、共通するテーマごとに分類して、ファイルスタンドに入れます。ファイルスタンドは、今のところ『憲法1(9条・基地関連)』『憲法2(その他)』『原発』『その他』の3つがあります。

講師をしたり、コラムを書いたり、私がアウトプットをする際にまず最初にするのが、クリアファイルに入っている切り抜きのまとめ読みです。この時点では切り抜いてからある程度時間が経っているため、「フロー」情報と「ストック」情報が見分けやすくなっています。また、まとめ読みをすることによって、細切れになっている1つ1つの情報の意味合いや関連性が見え、問題の構造を把握できるようになります。

切り抜きのまとめ読みをした後は、インターネットで関連情報をチェックしたり、論文や書籍を確認したりします。

議論の礎となるように

近年は、基本的な法律や制度の改正が数多くなされています。こうした変革の時代において、あるべき変革の方向性を描いたり、変化に適切に対応したりしていくためには、普遍性をもった価値や原理・原則に立ち返り、それらをふまえたうえで思考したり議論したりすることが重要です。

本コラムでは、様々な問題について、民主主義、立憲主義、平和主義等、憲法の基本原則に照らしてどのように考えるべきかといった視点から光を当てることを心掛けています。そのことにより、当該問題そのものについてだけではなく、憲法の基本原則や人権等に対する理解も深めることができるのではないかと考えています。

氾濫する情報に翻弄されず、地に足のついた議論をするための礎となるようなコラムを執筆すべく、努力を重ねて参ります。引き続きよろしくお願い致します。


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