上越市男女共同参画推進センターの講座
11月26日(木)、上越市市民プラザで、子育て中の方や子育て支援者の方々に向けての研修講座で、離婚後の共同親権について、お話ししてきました。
認定NPO法人マミーズ・ネットさんから依頼を受けて男女共同参画推進センター講座の講師をさせていただくのは、2021年7月に面会交流・養育費についての研修講師をさせていただいて以来、二度目です。マミーズ・ネットさんには、私自身の子育てをずっと見守ってきてもらいましたので、講座前の講師控え室では子どもの成長話で盛り上がりました。
事前の準備
離婚後の共同親権を導入する改正民法は2024年5月17日に成立したばかりで、当初は参照できる資料も少なく、細かい運用等については未だ不透明な分も多いため、ご依頼を受けた当初は準備に苦労しました。
しかし、10月、11月頃から、複数の法律雑誌に、法務省の立法担当者や日弁連で法改正の議論に深く関わっていた先生方の解説論文が掲載され始め、法務省の改正法の施行準備のための関係府省庁等連絡会議の資料や議事録も参照できるようになったことから、これらを十分読み込んで準備を行いました。当日は、次のような項目で説明を行いました。
- 親権とは?
- 離婚後共同親権の導入
- 法改正のスケジュール
- 離婚後共同親権の内容
- 共同親権の行使ルール
- 子育ての担当者と役割分担
- 再婚への影響
- 注意点と求められる支援
- Q&A
講座でのやりとり
講座では、簡単なセルフチェックのクイズを出題した後、「親権とは何か」という基本的な説明から始め、再婚後の養子縁組や子の氏の変更への影響といった、かなり込み入った話まで行いました。参加者の皆さんは熱心にメモを取りながら話を聞いてらっしゃいました。
また、質疑応答では、「現在の離婚協議への影響」、「裁判所がDV・虐待事案を適切に見抜いて判断できるのか」、「共同親権が円滑に実現されるために自治体が果たすべき役割とは」といった点についてご質問をいただき、参加者の皆さまの関心や意識の高さが伺われました。
私からは、「私自身の裁判官の経験からすると、『DVが実際にあったのかどうか』、『どの程度のものがあったのか』というのは、本人同士の言い分が真っ向から反しているときは、実際のところ、とても判断が難しいものです。裁判官の資質や知識ももちろん重要ですが、それ以上に、心理学等の専門的知識を有している裁判所調査官の役割が重要です。その人員・体制の拡充が不可欠で、そこにどれだけの予算をかけるか、国の本気度が問われていると思います。」といったお話や、「様々な事情があって離婚することになった父母が共同親権を円滑に行使するためには、父母間のコミュニケーションや意思決定を支援する機関の存在が不可欠ですし、裁判所の利用をスムーズに行うためには弁護士との連携も必要です。自治体にはこれらの支援や補助の拡充が求められるのではないでしょうか。」といったお話をさせていただきました。
終了後
終了後に、講師控え室で主催者のスタッフの方々と懇談しました。「とてもわかりやすかったです。見たところアンケートの結果も好評でした。」とおっしゃっていいただき、ホッとしました。一般の方向けの講師を行うのは久しぶりでしたが、喜んでいただけて何よりでした。