憲法カフェ@上越~感染症と人権


事前の準備で迷宮に入る

四連休直前の7月22日(水)、地元上越市で、憲法カフェをしました。

オファーをしてくれたのは、これまでに何度も何度も声をかけてくれているお馴染みの方。今回指のご依頼は、「感染症と人権について話して欲しい」というものでした。古くて新しい問題であるとともに、かなり幅広く、また深いテーマでもあります。

準備の過程で、感染症予防法・新型インフルエンザ特措法・検疫法・出入国管理法などの法律の内容を確認したり、感染症の歴史にまつわる論文、憲法の私人間効力に関する論文や書籍、新聞記事など、関連しそうなものを手あたり次第に読んだりしていたのですが、途中でふと「いったい自分は何をしているんだろう」と我に返り、完全に迷宮に入り込んでいることに気づきました笑。

絶妙のタイミングで、主催者の方や参加を予定している方から質問事項が届いたので、当日その内容を参加者さんと一緒に考えることにして、それを考えるうえで必要になる基本的な知識をなるべくわかりやすく伝えるための準備をする方向へと切り替えました。

乳児3人、幼児1人、大人11人

当日は、赤ちゃん3人、お子さん1人に、大人11人が参加してくれました。初参加の方も何人かいらっしゃったりして、いろいろなバランスがなかなかよかったです笑。なんと、地元の選挙区で立候補予定の梅谷守さんも、最初から最後まで参加してくださいました!

会場を提供してくださったのは、宮崎農機具店さん。過去に安保法案の問題で市議会に請願をした際にひとことカードを置いて下さったり憲法カフェのチラシを置いて下さったりしている農機具店さんです。

全体の構成

当日は、以下のような流れでお話しました。

レジュメの左側にある2と3が基本的な事項の確認で、右側の4と5がそれをもとに具体的な施策や疑問について考えるという構成です。6は、全体のテーマとはまったく別なのですが、事前にいただいた追加質問をおまけでくっつけました。

まずは基本的事項の確認

2の「これまでの出来事のおさらい」では、事前準備の過程で私自身も新たに発見したことがいくつかあったので、そうしたことを散りばめながらお話しました。

3の「憲法と人権のきほん」は、『憲法カフェ』では一番核になるところです。
個人の行動は原則として自由、法律で自由を制限することはできるけれども人権を簡単に制約することはできない、人権を制約する場合どういう理由でどの範囲までなら許されるのか、個人の人権と人権が衝突する場合にどのように調整すべきか、といったことを順番に説明しました。

具体的な施策について一緒に考える

「4」では、外出自粛要請、一斉休校、休業要請など、実際に実施された施策について個別に確認・検討しました。

各施策について検討する度に、憲法条文クリアファイルを使って何条で保障されている人権なのかを探してもらい、問題となる人権→制約の目的→制約の手段という順序で確認していく作業を繰り返したことで、基本的な思考方法をご理解いただけたのではないかと感じました。

これが身についていないと、「感染症の拡大(蔓延)防止」という目的が最初に来てしまい、「そのためならこのくらいはしょうがないのではないか」という発想に陥ってしまいがちです。そうではなく、行われようとしている施策がどういう人権を制約するものなのか、問題となる人権はなんなのかということをまず考える、「まず人権ありき」という発想を持つことが重要ではないかと思います。

また、目的と手段とがかみ合ったものになっているのか、それを基礎づける科学的な根拠があるのか、判断の経過や根拠を含む十分な情報が国民に提供されているのかといった視点も欠かせません。こうした点から考えると、マスクの配布や一斉休校要請などの施策には、大きな疑問符をつけざるを得ません。

質問・感想

最後に、「5」と「6」で、事前にもらっていた質問事項に対する回答を一緒に考えたところで、終了時間となりました。その後、時間の許す限りで、感想や質問を交流しました。

初めて参加された方が、憲法条文クリアファイルを見ながら「自分たちがこんなに憲法に守られているんだって、はじめて知りました。そのことをもっと多くの人に知ってもらいたいです。」という感想をお話してくれました。

また、「小学生とか子ども向けにも、今回のようなワークショップみたいなことできませんか?ぜひやりたいです!」と積極的な提案をしてくれる方もいました。

産後間もないのに、貴重な機会を設定してくれた主催者さんに、心から感謝です!