請願~総務常任委員会で採択されました


1 委員会での審議

「子どもと孫の未来を考える上越の会」として提出していた請願が、今日の総務常任委員会で審議されました。

私は、請願者の代表として、意見陳述を行いました。

その後、質疑、審議を経て、議決されましたが、賛成5人、反対2人で、請願が採択されました。
6月議会に提出されていた同種の請願は、総務常任委員会でも否決されていますので、その意味では一歩前進と言って良いかと思います。

ただ、今月29日の本会議が控えており、そこで採択されないと意見書が執行されることにはなりません。本会議では全議員で採否を決することになりますので、それまでにさらに多くの声を集め、議員のみなさんに届ける活動をしていきたいと思います。

また、委員会審議の中で、反対の立場の議員からいくつかの反対理由が示されましたので、それに対する私たちなりの回答もお伝えしたいと思っています。引き続きご協力をお願いします。

意見陳述

2 引き続くご協力のお願い

引き続きメッセージカードを集めています(締切:9月26日)。また、会員も募集しています。
下記の書式をダウンロードして手書きでご記入のうえ、当事務所宛に送ってください。

メッセージカード(PDF:gikai-card-pdf、Word:gikai-card-word

入会申込書(PDF:nyuukai-pdf、Word:nyuukai-word

また、以下の4つのお店で記入して、その場でボックスに投函していただくことも可能です。
よろしくお願いします。

つぼみ屋cafe
上越市石橋2丁目6-27
TEL:025-545-6332

ラ・ソネ菓寮 春日山店
〒943-0807 新潟県上越市春日山町3丁目19−7
TEL:025-526-2208

〒943-0151 新潟県上越市平成町436
TEL:025-522-3821

宮崎農機具店
上越市三和区番町1608−1
TEL:025-532-2051

上越中央法律事務所の連絡先

TEL 025-522-5781 FAX 025-522-5782
Email j-tanaka@j-c-law.com

3 意見陳述の内容

私が意見陳述でお話しした原稿を以下に貼り付けます。

第1 今回の請願はあくまでも手続を問題にするもの

集団的自衛権の行使については様々な意見があります。ですが、この請願の趣旨は、集団的自衛権行使についての賛否を問うものではありません。このように重要な事項を、憲法改正の手続によらずに、一内閣の判断で決めてよいのかという手続面のみを問題にしています。
この請願は憲法に基づく政治を取り戻すための請願です。

第2 立憲主義に違反すること

これは仮定の話ですが、市政における重要問題、例えば隣接する自治体と合併するとか、使用済み核燃料の処分場を受け入れるとかいうことを、市長が突然言い出した場合、みなさんはどのように対応されるでしょうか。

そんなに重要な問題について市民の声を聞かずに決めるのは横暴だということを主張されるのではないでしょうか。幸い村山市長はそのように乱暴なことはなさらない訳ですが、いま国政ですすめられているのは、それ以上の問題です。

それは、立憲主義に反するという問題です。
立憲主義というのは、国民の多数派を代表する国会や政府であっても侵すことのできない価値を憲法で定め、それによって権力に縛りをかけるという考え方です。多数意見が正しいとは限らないという歴史の教訓に基づきつくられた、近代以降の国家に共通するルールです。

このように、政府や国会は憲法を守らなければならない立場にありますので、守らされる側の政府が好き勝手に憲法の解釈をすることは許されません。

憲法9条は、「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないように決意し」た国民が、政府に対して戦争を起こすことを禁止した規定であるとされています。その実効性を担保するために戦力をもたない、交戦権を認めないということまで定めました。

このような憲法のもとでは、自国が攻撃されていないにもかかわらず、他国に対して攻撃を加えることは許される余地がありません。そのようなことができる軍事的組織は9条2項が禁止する「戦力」に該当し、集団的自衛権の行使は9条2項が禁止する交戦権の行使そのものだからです。

逆にいえば、このようなことが可能ということになると、憲法9条はまったく無意味な規定ということになってしまいます。これは法律解釈の限界を超えて、憲法の条文を書き換えることに等しいため、立憲主義に反することになります。

これは私1人が言っていることではなく、歴代政府の公式見解でもあります。
これまで政府は国会質疑や質問趣意書に対する答弁のなかで、3つのことを述べていました。
すなわち

  • 日本国憲法のもとでは集団的自衛権の行使は認められない、
  • 集団的自衛権を行使するためには憲法改正が必要、
  • 憲法解釈を便宜的、意図的に変更することは認められないという3つです。

今回の閣議決定は、この3つをすべてひっくり返すものですが、何故そのようなことが許されるのか説明されていません。

今回の閣議決定が否定するのは、アメリカ独立戦争やフランス革命以来の近代憲法そのものです。
憲法学者は、法治主義から人治主義に逆戻りするものと批判しています。

また、麻生副総理は昨年、ナチスの手口に学んだらどうかと発言しました。
ナチスはワイマール憲法を全権委任法によって無効化し独裁を打ち立てた訳ですが、今回は法律どころか、その前段階の閣議決定によって、憲法を無効化してしまおうということをやっているわけです。

近代国家に共通のルールを否定し、ナチス以上に問題のあるやり方を押し通すということで本当によいのでしょうか。
自民党の平成22年綱領の中には「意に反する意見を無視し、与党のみの判断を他に独裁的に押し付ける国家社会主義的統治とも断固対峙しなければならない」という一節があります。
自民党は本来、意に反する意見を無視したり与党の判断を独裁的に押しつけたりするような党ではないはずです。

第3 丁寧に説明し、憲法改正の手続によるべき

国民は政府に対し説明を求めています。これは、世論調査の結果から明らかです。
しかし、閣議決定で憲法の解釈を変更し、国会で法改正をする、この過程に国民が関与することはできません。国政選挙が当面は予定されていないからです。

しかも、集団的自衛権の問題は一昨年の衆院選でも昨年の参院選でも、主要な争点になっていません。
衆院選における自民党の選挙公約では、「外交」のページ端に小さく「集団的自衛権行使を可能とし、『国家安全保障基本法』を制定する」と書かれただけ。憲法解釈変更で実現するのか、改憲手続きを経るのか、判然としません。
参院選公約では、集団的自衛権の文言が完全に消えています。安倍総理は記者会見で「集団的自衛権は衆院選と参院選で争点になっていない」と聞かれて「街頭演説で国民の生命や財産、領土・領海を断固として守り抜いていこうと言った。」と反論しました。
選挙公約と街頭演説を同列に置くこの反論にはまったく説得力がありません。

仮に集団的自衛権を行使すれば、日本は国際法上交戦国になり、日本本土に対する攻撃も可能になります。イラク戦争中にロンドンやマドリードでテロが起きたように国内でもテロが起きるかも知れません。自衛隊員だけではなく、私たち1人1人の命や生活が関わるこのように重大な問題を、
国民の意思を問うことなく政府の一存で決めてよいはずがありません。

政府は、安全保障環境が変化したから、集団的自衛権の行使を認める必要があるのだと言っています。もしそうであれば、その必要性を十分に説明し、国民の理解を得たうえで憲法改正を行うべきです。

議員のみなさまには、憲法に基づく政治という、近代国家では当たり前のルールを取り戻すために、良識を発揮していただきたいと思います。