「新潟大学9条の会」の学習会


「新潟大学9条の会」の学習会に招かれまして、明日お話をすることになりました。

大学の教職員に加えて、場合によっては学生も参加するかも知れないとのこと。

集団的自衛権の行使容認をめぐって、情勢が緊迫しておりかつ流動的でもあるので、どういった内容にするかは結構悩ましいものがあります。

安保法制墾報告書の内容、政府が提示している15事例についての検討、メディアで報じられている閣議決定案等々、話し出せばきりがないですが、細かいところに入り込みすぎてもよくないし、、、等ということを考えながら、とにもかくにも話す内容の骨子をつくりました。参考までに貼り付けておきます。明日はパワーポイントを使いながらお話してくる予定です。

***以下、骨子

新潟大学9条の会学習会・戦争ができる国にさせないために
                                                                         
                                      140613 弁護士 田 中 淳 哉

はじめに~政府が描くスケジュール 
   安保法制墾報告書の提出
  →与党協議
  →閣議決定(今国会会期内?)
  →ガイドライン改定(2014.末?)
  →関連法の改正(2015.通常国会)

第1 集団的自衛権の行使を容認することの問題
 1 集団的自衛権とは何か~国際法上の位置づけ
      武力行使は原則として違法
 2 政府は一貫して行使できないとしてきた~国内法上の位置づけ
   自衛権行使の3要件(急迫不正の侵害が必要)
 3 行使できるようにする必要があるのか
(1)15事例の分析
      必要性があるのか(非現実的な設例、現行のままで対応可能)
   相当性があるのか(より危険である、自ら戦争に踏み込む事態になる)
(2)行使を認めないと「いざというとき守ってもらえない」=抑止力が機能しない?
      集団的自衛権の定義→日本の防衛とは無関係
      日米安保の建前(抑止力)と本質(海外への進出拠点)
      行使を認めれば守ってもらえるといえるのか
      抑止力的発想は軍拡競争につながる弊害もある
 4 「限定的」であればよいのか
(1)6要件は歯止めたり得ない
(2)国会質疑で明らかになったこと
   「非戦闘地域」の歯止めがなくなる
   アメリカ以外も対象になりうる
(3)本音は「血の同盟」
 5 行使を認めることの弊害
(1)集団的自衛権の実際
   政治的に濫用されてきた歴史
   アメリカは先制攻撃戦略を採用→侵略の片棒担ぎ
(2)テロ等のリスク
(3)平和国家としてのブランド放棄

第2 閣議決定により憲法解釈を変更することの問題
 1 立憲主義→少なくとも憲法改正の手続によるべき
      権力を縛る憲法の解釈を権力者が恣意的に変更する
    *憲法改正の限界
 2 憲法の基本原則に関する長年の政府解釈の積み重ねを一内閣の判断で覆す
   ①集団的自衛権の行使は認められない
      ②この政府解釈は時の政権の政策判断では変えられない
      ③行使できるようにするには憲法を改正する必要がある
 3 何でもあり~秘密保護法強行採決時の反省はどこへ?
(1)うそをつく
   平和主義は守る、戦争には参加しない
(2)不安をあおる
      このお子さんを助けられなくていいのか、日米安保はもつのか
(3)あの手この手
   私的諮問機関による報告を受け、それを「限定」する演出
   4条件を出した3日後に3条件に変更
   事例をどんどん増やす(一点突破)
(4)とにかく強引に
   選挙の争点にせず(13年参院選では公約には盛り込まず)、
   内閣法制局長官の首をすげ替え、国会審議もわずか
第3 情勢をどうみるか
 1 各政党のスタンス
(1)積極推進:自民、維新、みんな、結い
(2)消極賛成:民主
(3)消極反対:公明、生活
(4)積極反対:共産、社民
    *自民党重鎮が共産党の機関紙に相次いで登場、野田総務会長の発言
    *ノーベル賞選考委員会に対し60人の超党派議員が陳情書提出
 2 メディア
(1)新聞
      推進:産経、読売、日経
   反対:毎日、朝日、東京(その他地方紙)
(2)テレビ
    ワイドショー・バラエティへの出演
    報道番組では、報道ステーション、ニュース23が反対のスタンス
    NHKは報道番組が壊滅的、但しNHKスペシャル等
 3 市民による運動
(1)学者・知識人による呼びかけ
   9条の会
   立憲デモクラシーの会
   国民安保法制墾
     戦争をさせない1000人委員会
(2)弁護士
     明日の自由を守る若手弁護士の会
   日弁連で対策本部発足
(3)市民
     憲法9条にノーベル平和賞を!の取り組み
 4 世論の動向
(1)傾向
   1年前と比較して賛成減少・反対増加という変化
    但し、限定的なら容認が多数派?
   政権支持率に下落傾向?
(2)分析
   領土問題(中国・韓国)、北朝鮮を利用した脅しが一定程度効いている
      「難しい」「よくわからない」という声

第4 阻止するためにすべきこと
 1 「今」すべきこと~声を届ける
(1)政府
      首相官邸ご意見フォーム:http://www.kantei.go.jp/jp/forms/goiken.html
   内閣官房ご意見フォーム:https://www.kantei.go.jp/jp/forms/cas_goiken.html
(2)与党
      自民党ご意見フォーム:https://www.jimin.jp/voice/
      公明党ご意見フォーム:https://www.komei.or.jp/contact/
(3)メディア
      報道番組、新聞
 2 関連法改正まで見据えた中長期の取り組み~声を広げる
(1)どこに目標をおくか 
   政権支持率を危険水域にまで下げて世論を無視できないようにする
(2)広げる対象
   「難しくてよくわからない」と言っている世代
(3)広げる内容
   総理がふりまく不安を解消する
   アメリカと戦争する国になる→テロ等のリスク、子どもが戦争に
   安倍政権の異常性を浮き彫りにする
(4)広げる方法
      とにかくわかりやすく
                                                                      以上