人権教育の一環で
3月13日(水)、上越市立城北中学校で、1年生(144人)向けに、薬害教育の特別授業をしてきました。
今回の授業は人権教育の一環として位置づけられており、いただいたオファーの内容も「薬害被害者に対する人権侵害や差別の実態を学ぶ中で、人権に対する理解を深めたい」というものででした。城北中学校での授業は、今回で3回目ですが、これまでも今回と同様のテーマをご指定いただいています。
授業の流れ
差別や偏見の問題を1つの主題に位置づけることになったため、これまでの授業よりも内容をしぼり込み、以下のようなシンプルな構成にしました。
冒頭の1~3では、生徒のみなさんに問いかけをしながら話を進めました。また、ところどころで手を挙げてもらうなどして、なるべく参加しやすい雰囲気をつくることを心がけました。
被害者の方のお話
先日の春日中学校の授業と同様に、今回も、薬害肝炎東京原告団代表の及川綾子さんがお話してくれました。
及川さんは、今からおよそ30年前に双子を出産した際に大量の出血が止まらず、止血剤としてフィブリノゲン製剤を投与されました。このフィブリノゲン製剤にC型肝炎ウイルスが入っていたため、C型肝炎に罹患しました。
当時、C型肝炎を治すための治療法は、インターフェロン治療しかありませんでした。インターフェロンは激しい副作用を伴ううえ、治療しても治る確率はそれほど高くありませんでした。及川さんは、高熱、頭痛、吐き気、下痢、めまい、脱毛、味覚障害、不眠、うつなど、強烈な副作用とたたかいながら、7度にわたってインターフェロン治療を受けました。打たれたインターフェロン注射は、全部で600本以上にものぼりました。
また、「もう1つの苦しみ」として、職場での差別体験についてもお話されました。
C型肝炎は感染症ですが、感染者の血液や体液が体内に入らない限り、感染することはありません。感染力は低く、性行為による感染はまれ、母子感染のおそれは低いとされています。当然のことながら、日常生活での感染はありません。こうした正しい知識や情報が共有されていないために、大変残念なことですが、患者に対する不当な差別や偏見が残されています。
及川さんは、知らないことが誤解を生み、誤解が差別や偏見につながることを指摘したうえで、「みなさんには正しい知識を身につけてもらいたいですし、相手の立場や気持ちを考えられる人になって欲しいです。」と語りました。
また、お話の最後に「薬害は人の落ち度によるものなので、人の手で防ぐことができるし、防いでいかなければならない。薬害は、二度と繰り返してはならないと思います。」と訴えました。
生徒さん達は、涙ぐんだり、神妙な表情を浮かべたりしながら、及川さんのお話に聞き入っていました。
報道
NHKが当日夕方の県内ニュース(「新潟ニュース610」)で取り上げてくださいました。上越タイムスの記者さんも取材に来てくださっていたので、記事が掲載され次第追記します。
*3月15日付追記
3月15日付の「上越タイムス」に記事が掲載されました。
授業の申込み窓口として、連絡先を記載していただいています。ありがとうございます!
オファーをお待ちしています
薬害肝炎原告団・弁護団では、薬害事件の悲劇を繰り返さないために、この薬害教育に取り組んでいます。
これまでに授業を実施した学校の生徒さんや先生方からは、「薬害は思っていたより身近な問題なのだと気づいた」、「薬や薬害についてもっと学びたい」、「被害体験を直接聞けたのはよかった。高等部の生徒にも聞かせたい」などの感想が数多く寄せられています。
全校生向け、学年単位、クラス単位など、どのような形式でも対応可能です。
興味をお持ちの学校関係者がいらっしゃいましたら、お気軽にお問い合わせください。
【新潟県内の方】
→当事務所宛 TEL 025-522-5781 FAX 025-522-5782
【県外の方】
→薬害肝炎東京弁護団宛
TEL 03-6384-1823 FAX 03-6384-1824