つれづれ語り(特殊詐欺)*追記あり


『上越よみうり』に連載中のコラム「田中弁護士のつれづれ語り」。
8月30日付朝刊に掲載された第17回は、特殊詐欺についてです。

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特殊詐欺被害を防ぐために

増える被害

新潟市内に住む70代女性が、特殊詐欺で2億4000万円の被害を受けたとの報道があった。キャッシュカードをだまし取られて預金口座からほぼ全額が引き出されてしまうまでの約5ヶ月間、だまされていることに気づかなかった。県内の特殊詐欺被害で過去最高額という。

判断能力の衰えた高齢者をねらい打ちにする卑劣な詐欺は後を絶たない。
警察庁の発表によれば、今年上半期の特殊詐欺被害額は186億8000万円であり、前年同時期に比べ減少しているものの、被害の認知件数は8863件であり、前年同時期比で4割近く増加している。

上越署管内では、今年5月末時点での被害額は、1500万円にのぼる。昨年1年間の被害額が1400万円だから、わずか5ヶ月間で昨年1年分の被害額を上回っていることになる。

不審な電話への対策強化

警察や自治体は、特殊詐欺の被害を防ぐべく、金融機関やコンビニエンスストアなどの協力も得ながら対策を強化している。
しかし、対策をとるとそれをすり抜ける新たな手口が開発されるており、完全にいたちごっこの様相を呈している。

ただ、高齢者に限っていえば、詐欺のとっかかりは電話によるものが大半を占める。このため、不審な電話への対策を強化することがもっとも重要かつ効果的である。

通話録音装置の利用を

上越市は、昨年から、高齢者世帯を対象に、通話録音装置「振込め詐欺見張隊新117」の無料貸し出しを行っている

電話機にこの装置をセットしておくと、着信時に「この電話は振り込め詐欺等の犯罪被害防止のため、会話内容が自動的に録音されます。」とのアナウンスが流れ、通話の内容が録音される。事前に「許可電話帳」に登録しておけば、当該番号からの架電に対しては、警告のアナウンスを流さないようにすることもできる。

図1

また、非通知電話や「拒否電話帳」に登録した番号からの着信を拒否することができる。
さらに、緊急通報用の赤ボタンを押せば、あらかじめ登録された4箇所の電話番号宛に緊急事態の発生が知らせられる。

申込みの方法

通話録音装置の貸し出しを希望する場合、申請書を市の市民安全課に提出して申し込む。台数に限りがあるため、審査のうえ貸し出しの可否が決定される。
お問い合わせは、上越市市民安全課まで(526-5111)。

*8月30日付追記
ネットで検索したところ、他の市町村でも同様の無料貸出をしているようです。
新潟県内に限っても、糸魚川市、五泉市、魚沼市、長岡市、村上市、十日町市、妙高市、南魚沼市、阿賀野市などは実施しています。
また、見附市、柏崎市などは、「モニター募集」という形で、事実上無料で利用できる制度があるようです。