3年(度)連続
11月20日(水)、上越総合技術高校の1年生(200人)を対象に、主権者教育の特別授業(前編)をしてきました。
上越総合技術高校では、2年前にもやはり1年生を対象にした主権者教育の授業をさせていただいていますし、昨年度(今年2月)にも1年生を対象に消費者教育の授業をさせていただいています。
そんなご縁もあって、県弁護士会の弁護士学校派遣制度「弁護士と学ぼう!」を申し込む際に、事実上のご指名をいただきました。
授業(模擬投票)のながれ
いただいた授業時間は2年前と同じく、1コマ×2週分=2コマ。
内容も前回同様、1コマ目に模擬選挙をし、翌週の2コマ目にクイズ等を交えた講演をすることにしました。
1コマ目にあたる11月20日の授業は、地元上越市の市長選挙という設定で模擬投票。
候補者は、「子育てしやすい町に!」を掲げる女性候補、「高齢者に優しい町に!」を掲げる男性候補、「若い世代が楽しめる活気ある町を!」を掲げる女性候補の3人です。
2回投票してもらうことにし、1回目は個人での投票、2回目はグループでの投票にしました。
3人の演説①
今回は、気合いを入れて演説原稿をつくりました。
公約(政策)だけではなく候補者の経歴やキャラクターを設定すると、感情を乗せやすくなって演説内容に厚みがでるように感じました。
また、公約(政策)と経歴(キャラクター)のポイントを「選挙公報」の形にまとめて配布し、演説中にスクリーンに映し出すことにしました。
3人の候補者は、学校の先生に担当していただきました。私の演説原稿にオリジナルのアレンジを加えて、説得力のある演説をしてくださいました。
個人での投票とインタビュー
担当の先生からご提案いただき、今回はスマホを使って投票してもらいました。学校のシステムにログインしてもらい、アンケートに回答してもらう形です。先生がその場で集計結果を円グラフにして下さり、スクリーンに映し出す形で発表しました。
はじめての試みだったこともあって若干手間取りましたが、一人ずつ投票してもらう方式より時間がかからず、場所を移動する方式と違って他の人の意見に左右されずに投票できる点が優れていると感じました。
1回目の投票結果は、こんな感じでした。
投票した理由について何人かの生徒さんにインタビューしました。みなさん物怖じすることなく、しっかり自分の考えをお話してくれました。
演説②
2度目の演説は、他の候補を批判する内容です。
あまり時間がなかったので、子育て候補→高齢者候補、高齢者候補→若い世代候補、若い世代候補→子育て候補と循環する形で批判してもらいました。
- 子育て候補→高齢者候補の批判
子育て世代の大変さがわかっていない。 - 高齢者候補→若い世代候補の批判
実現可能性があるのか、費用がかかり過ぎるのではないか。 - 若い世代候補→子育て候補の批判
人気取りのばらまきではないか、子どもがいない人との間で公平を欠いているのではないか。
グループでの話し合い
その後、5人ずつのグループに分かれて、グループとして誰に投票するかを話し合ってもらいました。ここが盛り上がるかどうかが一番不安でしたが、どのグループも熱心に議論してくれていて、ほっとしました。
「高齢者が入る施設が足りなければ自宅で介護しないといけなくなる。そうなっちゃうとものすごい負担だし、仕事を辞めなきゃいけなくなったりもする。」
「子どもが増えたらそれだけお金かかるじゃん。」「でもそれで経済が回っていくし、長い目で見れば税収が増えることにもつながるんだよ。」など、ポイントをしっかり押さえたうえで噛み合った議論をしているグループもあり、感心しました。
グループでの投票とインタビュー
グループでの投票結果は、こんな感じでした。
少数意見が生き残るかどうかに注目していたのですが、少数意見であった子育て候補の票が比率は低下したものの生き残っていました。時間があまりなくて突っ込んで聞くことができなかったのですが、どのような議論で少数意見に投票することにしたのか、詳しく聞いてみたいと感じました。
次回の授業では、今回の模擬投票の内容や結果にも触れながら、主権者として政治や社会の問題をどのように捉えどのように関わっていったらよいのかということについてお話したいと思います。
『上越よみうり』に連載中のコラム「田中弁護士のつれづれ語り」が電子書籍になりました。主権者教育について書いたコラムも入っています。
販売価格は100円。こちらのリンク先(amazon)からお買い求めいただけます。スマートフォン、パソコン、タブレットがあれば、Kindleアプリ(無料)を使用して読むことができます。