素敵なタイトルで
5月27日、地元の上越市で久々に「憲法カフェ」をしました。
今回主催してくださったのは、いつも節目節目で憲法カフェを主催してくれている北浦瞳さんと、小島利恵さんのお二人です。小島利恵さんは元看護師さんで、子育てや健康に関する講座のオファーが全国から寄せられる人気講師です。憲法に関するいろいろな問題についても、子どもに関わる重大問題ということで、なるべくわかりやすく、かつ興味や関心を持ちやすいように工夫をこらした情報発信をしていらっしゃいます。
今回、主催者の方から提案されたタイトルがこちら。とても素敵だったので、パワポのタイトル画面もおしゃれなものにしてみました笑。
主催のお二人のご尽力のおかげで、当日は17人もの方がご参加くださいました。初参加の方もリピーターの方もいらっしゃり、赤ちゃん連れやお子さん連れの方もいらっしゃって、憲法カフェらしい憲法カフェになりました。
お話の概要
全体の構成は、先月講演したときと同様に、「自由権に対する制約」、「社会権の保障」、「差別・偏見に基づく人権侵害」という3つを柱にすることにしました。
1 おさらい
最初に、これまでの経過と、憲法の基礎知識についてのおさらいをしました。
2 自由権に対する制約
まず、感染症は人から人に感染するため、感染拡大を防ぐためには人と人の接触や関わりを減らす必要がある。そのため、ある程度人の自由を制限せざるを得ない。その意味で予防と自由との間にはジレンマがあるということを確認しました。
次に、「自由と人権と法律と憲法の関係」を図を用いながら説明しました。
そして、感染症対策に関わる法律を、「出入国に関わる法律」と「国内での対策に関する主な法律」に分類したうえで、国内対策のための法律について詳しく説明しました。
感染症予防法については、感染症の基本的な分類を確認したうえで、新型コロナウイルス感染症が「指定感染症」(2類相当)から、「新型インフルエンザ等感染症」と同等の扱いに変更されたことを確認。
新型インフルエンザ特措法(新型コロナ特措法)については、「発生時における措置」「まん延防止等重点措置」「緊急事態措置」の3段階が想定されていること。まん延防止等重点措置、緊急事態措置、緊急事態条項(自民党改憲草案)の3つについて、民主主義のブレーキ、立憲主義のブレーキという視点から対比して、問題点を検討しました。
また、感染症対策として取られている各種の措置について、どういう人権が、いかなる目的や手段により制限されているのか、それは憲法上問題があるのかないのかといったことを具体的に検討しました。新型コロナワクチンの法律上の位置づけについても確認しました。
3 社会権の保障
「社会権の保障」のところでは、生存が脅かされる深刻な実態が広がっていること、その背景に「コロナ前」から進められてきた雇用政策、経済政策、社会保障政策の問題があることを、グラフ等を用いて説明しました。
4 差別・偏見に基づく人権侵害
「差別・偏見に基づく人権侵害」では、感染者やその家族に対するものと、「自粛しない人」に対するものと、それらがないまぜになったものがあると整理したうえで、差別はいけないとみんなわかっているはずなのに、どうして差別が起こるのかと問題提起。
差別や偏見のもとをたどると不安や恐怖に行き着くこと、それらは本能に根差したものなので、誰もが抱くものであること、だから私たちそれぞれが人ごとではなく自分自身の問題として考えなければならないことなどをお話し、不安や恐怖が差別や偏見へとつながる仕組みをわかりやすく解説した日本赤十字社作成の『新型コロナウイルスの3つの顔を知ろう!~負のスパイラルを断ち切るために~』を紹介しながら、不安な気持ちとどのように向き合ったらよいのかを考えました。
5 おわりに
自由権、社会権、差別偏見に基づく人権侵害という3つの視点からお話してきたが、どの問題も「個人の尊重」より「公益を優先」する考え方が基礎にある。憲法が掲げる個人の尊重の理念に基づいた対策へと切り替えていくことが大切なのではないかという「まとめ」をして、講演を終えました。
私からのお話だけでも2時間以上かかってしまったのですが、みなさん最初から最後まで熱心に聞いてくださいました。質問もたくさん出されたのですが、その内容も、「教育委員会の権限の範囲と一斉休校措置の当否について」、「学校におけるマスクの取り扱いについて」、「病院や学校などが公立の場合と私立の場合とで人権規定の及ぼされ方が変わるのか」等々、理解を深めるのに役立つものばかりでした。
Special Thanks!!
主催者のお二人が、手作りのお菓子やコーヒー・紅茶・お茶をご用意くださったり、機材を万全の状態でセッティングしてくださったりしたおかげで、私はお話をすることに専念できました。今回は、対面+録画配信という、やや変則的なハイブリッド方式での開催となりましたが、そのための機材準備も、録画配信の手配も、録画も、動画の編集もすべてお任せという、至れり尽くせりの対応でした。本当に感謝、感謝です。
さらに終了後には、子どもたち用に、体に優しく、かつとってもおいしいお菓子をお土産にいただいてしまいました。
Le coeurのお菓子、オススメです!!
今回も、準備の課程や当日のやりとりの中で、新たに知ったり理解が深まったりした点がいくつかありました。最近は講演や授業の依頼をいただくことも増えてきて、準備もなかなか大変ですが、引き続きできる限りお引き受けしたいと思っています。