改定されたHPVワクチンリーフレットの問題点


1 デザイン変更による情報の質的変化

1月18日、厚生労働省は、HPVワクチンのリーフレットを改定し、「医療従事者の方へ」、「HPVワクチン接種を検討しているお子様と保護者の方へ」、「HPVワクチンを受けるお子様と保護者の方へ」という3種類の新しいリーフレットを、ウェブサイト上で公表しました。

これまでのリーフレットでは、表面の上部に「子宮頸がん予防ワクチンの接種を積極的にはお勧めしていません。接種に当たっては、有効性とリスクを理解した上で受けてください。」と大きな文字で書かれていて、接種するかどうかを慎重に判断した方がよいということが、一目でわかる構成になっていました。

従来版(厚生労働省のウェブサイトから転載)

従来版(厚生労働省のウェブサイトから転載)

ところが、新しいリーフレットでは、「ワクチンの「意義・効果」と「接種後に起こりえる症状」について確認し、検討してください。」という記載が上部に残されているものの、「積極的におすすめすることを一時的にやめています」という記載は、一番下に小さな文字で書かれているだけであまり目立たなくなってしまっています。

新版(厚生労働省のウェブサイトから転載)

新版(厚生労働省のウェブサイトから転載)

2つのリーフレットを並べて見ると、発信・伝達される情報の性質が、注意喚起(旧版)から、単なる情報提供(新版)に変えられてしまっていることがよくわかります。

2 内容上の問題点

新しいリーフレットは、内容面でも、必要なことが書かれていなかったり、不正確・不適切な記載があったりと、とても見過ごせない問題を抱えています。

このため、HPVワクチン薬害訴訟全国弁護団・原告団は、1月19日、厚生労働大臣宛に、「HPVワクチン新リーフレットの全面修正を求める緊急要望書」を提出し、記者会見を行いました。弁護団・原告団が記者会見で強調した、新リーフレットの主な問題点は、以下の2点です。

  • 新リーフレットが多様な副反応症状を伝えておらず、特に、記憶障害・学習障害については、医療従事者用のリーフレットだけに記載して、本人や保護者用には記載していないこと
  • 救済制度での認定例のうち、障害と死亡の認定頻度を比較すると、HPVワクチンは、主な他のワクチンの平均値より約10倍高いことを伝えていないこと。

リーフレットは、接種を検討している方や医療従事者向けにつくられている以上、接種するかどうかを判断するために必要な情報が正確に記載されていなければならないはずです。早期に、全面的な修正がなされるよう求めていきます。なお、記者会見の詳しい内容は、HPVワクチン薬害訴訟全国弁護団のHPをご覧ください。


HPVワクチンの被害者を救済し、薬害の再発を防止することを目的に各地で裁判が行われています。東京地方裁判所で行われている裁判の日程は、以下の通りです。

〇 東京訴訟第5回期日
日時:2018年2月14日(水)15:00~
〇 東京訴訟第6回期日
日時:2018年5月30日(水)15:00~
〇 東京訴訟第7回期日
日時:2018年8月8日(水)15:00~