どうする?「空き家」@Kinaiyaプロジェクト
3月12日、Kinaiyaプロジェクトの公開ミーティングで、空き家問題についてお話しさせていただきました。
Kinaiyaプロジェクトとは、上越高田地区の伝統的な町並みを守りつつ、若い世代を呼び込んでまちを活性化させようと、空き家のリノベーションやDIYワークショップなど様々な取り組みを行っているグループです。
今回は、発足後3年間の活動報告に加え、今後の活動に向けて空き家問題の公開ミーティングを行うとのことで、「空き家問題の全体像が分かるような話をしてほしい」と依頼をいただきました。
空き家問題への関心の高さ
Kinaiyaプロジェクトによると、イベントの告知期間はわずか10日程度だったにも関わらず、数日で定員が埋まる反響の大きさだったようです。当日はメディア数社の取材も入っており、空き家問題に対する市民のみなさんの関心の高さを感じました。
空き家問題の現状と課題について
当日は、このような流れでお話しました。
空き家問題を考える上で最低限必要な知識、問題の現状、検討すべき課題、解決の方向性など、「車座トーク」での意見交換を始める前の土台作りとして、参加者のみなさんに一定の共通認識をもってもらうことを目標に内容や構成を考えました。
1 空き家の現状
(1) すでに7~8軒に1軒が空き家
まずは全国の空き家の状況について確認しました。
空き家率が13.6%、すなわち7~8軒に1軒が空き家であること。
人口減少に伴い、今後に、4軒に1軒ないし3軒に1軒が空き家になる可能性があること等々。
(2) 上越の空き家の現状と今後の予測
次に、上越市の空き家の現状について、国の統計資料や市の実把握数の双方から確認しました。
空き家率からすると、上越市も、全国と同様に、7~8軒に1軒が空き家の状況です。
また、令和27年の上越の高齢化率が40.6.%と予測されていること、すでに同様の高齢化率となっている他市の空き家率、全国の空き家率の推計値などを総合すると、上越市でも、このまま対策が進まなければ、今後10~20年ほどの間に4戸に1戸が空き家になる可能性が高いことなどを話しました。
(3) 空き家を生む構造
次に、空き家は相続によって発生することが最も多いこと、相続後になぜ空き家のまま放置してしまう人が多いのか、相続発生前後に空き家への対処を先送りすることで処分がさらに困難となる理由、相続放棄だけでは解決にならないことなどをお話しました。
2 どのような取り組みが必要か
⑴ 予防、調査、利活用、解体
空き家問題は、空き家の状況等に応じて、多面的な取り組みが必要であることをお話しました。
その上で、空き家の発生予防策としての「すまいの終活」、現状把握のための「すまいのトリアージ」など、最近各地の自治体で取り組まれている事例などを紹介しました。
また、空き家の利活用、解体促進策等についても、全国版空き家バンクの中に掲載されている空き家問題解決事例などの中から、参考になる取り組みを紹介しました。
⑵ 空き家対策プラットフォームを
この中で、私が喫緊の課題と感じているのは、専門家が連携し、ワンストップ対応ができる「空き家対策プラットフォーム」の構築であることをお伝えしました。全国各地で、自治体、NPO法人、民間事業者など様々な主体が中心となり取り組みが進められています。上越市でも、そろそろこの取り組みに向けて動き出すべき時期なのではないでしょうかと呼びかけました。
おわりに
プラットフォームを作るには、まず自治体と専門家等が一堂に介して問題意識を共有する必要があります。今回の参加者は、自治体職員、建築士、司法書士、不動産業者、社会福祉協議会、町内会長、教職員など、多岐にわたっており、その足がかりになったのではないかと思います。
また、車座トークでは、真剣で熱のこもった意見交換が行われ、「この場だけで終わらせてはいけない」という想いを発言者全員からひしひしと感じました。
これをきっかけに上越市の空き家対策が一歩でも二歩でも前進することを願ってやみません。
素晴らしい会を企画・運営をされたKinaiyaプロジェクトの皆様には、心から敬意を表し、感謝申し上げます。
報道など
上越妙高タウン情報
当日の様子を上越妙高タウン情報さんが報道してくれました。
Kinaiyaプロジェクト
KinaiyaプロジェクトのFacebook投稿です。
打田建築士
こちらは、Kinaiyaプロジェクトの活動報告をしてくれた打田建築士のFacebook投稿です。
新潟日報
新潟日報の2021年4月1日付朝刊に掲載されました。
キナイヤ白書
Kinaiyaプロジェクトが作成したキナイヤ白書です。全文はこちらからご覧いただけます。