模擬裁判授業@糸魚川中学校


上越教育大学の先生にお誘いいただいて

12月13日(金)、糸魚川中学校の3年生を対象に実施された模擬裁判授業に、ゲストコメンテーターのような形で参加してきました。

日頃から何かとお世話になっている、上越教育大学の中平一義教授からお誘いいただいたことがきっかけです。

事前の準備

今回の授業を担当されたのは、現在大学院に在籍していらっしゃる高校の社会科の先生です。事前に立派な指導案と模擬裁判のシナリオを送って下さいました。

指導案で私に振られていた役割は、「黙秘権や無罪推定原則についての説明」ということだったのですが、授業の構成を見て、事案の読み解き的なコメントもあった方がよいのではないかと思い、そちらについても準備することにしました。

授業全体で1コマ分の時間(50分)しかなかったので、私のコメントも極力コンパクトに収めないといけません。短い時間できちんとポイントが伝わるように、あれこれ悩みながらパワーポイントを作成しました。

授業の流れ

(1)模擬裁判→判決

冒頭で導入の説明があった後で、コンビニ強盗事件の模擬裁判が行われました。検察官、被害者、被告人、弁護人などを演じるのは、いま大学院に在籍している小中学校の先生方。時間をオーバーしないように練習やリハーサルを重ねていたようで、みなさん堂々たる演じっぷりでした。

生徒さん達は裁判員として、有罪か無罪かの判断を行います。各自タブレットを使ってクラスルームから投票。すぐに円グラフで結果が表示されました。1回目の判決は、有罪と無罪の比率が概ね2対1くらいでした。

(2)無罪推定・黙秘権についての説明など

その後、模擬裁判中に本筋とは別のところで仕込まれていた、とある仕掛けについて、先生から問いかけ。そもそも目撃証言ってそんなに信用できるんだろうかという疑義が呈されました。

私からは、「無罪推定原則」と「黙秘権」について、①どういうものか、②なぜ認められているのか、③判断にどのような影響を及ぼすのかといった点を説明しました。「無罪推定原則」は判断の枠組みの問題として、「黙秘権」は判断の材料の問題としてお話したのですが、生徒さん達は思いのほか真剣に話を聞いてくれていました。

どちらの言い分が正しいか、白か黒かの判断をしてしまいがち。

でも実際にはそんなに白黒はっきりつけられない。また無罪推定原則があるので、黒か黒でないか(黒とまでは言えないか)という判断をする必要。

黙秘権があるので、黙っていることを不利な認定の材料にしてはいけない。

(3)2回目の判決

それらを踏まえて2回目の判決。有罪と無罪の比率が逆転して、概ね1対2くらいになりました。

(4)事案の読み解き、まとめ

最後に、証拠構造を確認したうえで、事案のポイントについて説明しました。

証拠の構造についての説明。

事案のポイントを確認。

口頭のやりとりを一度見聞きしただけで事件内容を的確に把握するのは難しく、一部消化不良になっていた生徒さんもいたかと思うので、やはりこの内容も準備しておいてよかったなと感じました。

今後も

普段の授業は基本的にすべて自分で準備をするので、他の方が準備して進行する授業にサポート的に参加するのは新鮮でした。準備した方の意図やねらいを汲み取りながら、それをうまく活かせるように関わるのは、自分1人でやるのとはまた違った難しさがありますね。

中学校の模擬裁判授業に関わったのは今回が初めてだったのですが、きちんと準備をすれば1コマでもできることがわかりました。ご依頼があれば自分でもやってみたいと思います。

報道

『上越タイムス』糸魚川支局の記者さんが取材にきていて、授業の終了後に「すごくわかりやすく説明して下さったので、あ~、そんな風に考えるのか!と勉強になりました。ありがとうございました!」声をかけて下さいました。記事が掲載されたら追記したいと思います。

『上越タイムス』の2024年12月19日付12面に記事が掲載されたので追記します。ありがとうございます!