安保法制がわかりません。教えて!アンポンタン!!(その4)


アン 今日は表⑥のPKO協力法の改正の話だね。

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タン

表の一番左の欄を見るとわかるように、
集団的自衛権とか後方支援は紛争が起こっているときの話だったけれど、
今日の話は紛争が一応終わった後(平時)の話だね。

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国連が統轄しない活動=国際連携平和安全活動(表Ⅰ)

アン

法律が改正されると、国連PKOだけじゃなくて、
国連が統轄しない活動(国際連携平和安全活動)にも参加できるようになるよ(表Ⅰ)。

タン 国連が統括しない活動って、どういうもの?

アン 最近の例で言えば、ISAF(国際治安支援部隊)があるね。

ポン 挨拶はやっぱり基本だよね。

タン

アイサツじゃなくてアイサフだよ。
ISAFって聞いたことはあるけどよくわかんないな。

アン

2001年にアメリカの「報復攻撃」でタリバン政権が崩壊して
アフガニスタンが焦土になった。
そこでアフガニスタンで民主国家をつくるために、アフガンの各派から人を出して、
ドイツのボンで話し合いがされた。
このときの合意を「ボン合意」っていうんだ。

タン そのボン合意でISAFの活動をすることが決まったの?

アン

まあ、そうだね。
ボン合意のメインはあくまでもどうやって民主国家をつくるかってことなんだけど、
暫定政権だけで治安を維持するのは難しいから
首都カブールの治安維持をNATOがサポートすることが決まったんだ。

タン 国連は全然関わっていないの?

アン

ISAFの活動を承認し、国連加盟国に協力を呼びかける内容の国連決議はある。
でも、国連が指揮している訳ではなくて、指揮権はあくまでもNATOにあるんだ。

タン

国連PKOとは違うんだね。
こういうものにも参加できるようにしようっていうことか。

 任務と武器使用権限の拡大(表Ⅱ・Ⅲ)

タン

他にも、自衛隊がこれまではできなかった任務を任されたり(表Ⅱ)、
武器を使える場面が増えたりするんだね(表Ⅲ)。

アン

そうだね。
これまでは、自衛隊がPKOに参加する場合、
道路や橋を補修したりするインフラの整備が中心で
武器を使うのは、自分の身を守ったりする場合に限られていたんだ。

タン

これからは、治安維持活動とか、駆けつけ警護もできるようにして、
そういう任務を遂行するために武器を使うことができるようにするってことか。

アン そのとおり。

どうして変えようとしているの?

タン どうして変更しようとしているの?

アン

背景には、国連PKO自体の性質が変わったことがあるんだろうね。
PKOはわかるかな?

ポン サッカーとかボクシングのことはあんまり、、、。

タン PKでもKOでもないよ。PKO。国連の平和維持活動のこと。

アン

そうだね。
紛争が終わった後に、インフラを整備したり、給水活動をしたりして、復興を支援し
平和を「維持」するための活動なんだ。

タン そのPKOの性質が変わったの?

アン

停戦の合意が破棄されて紛争が再燃したり、
内線から大規模な虐殺が行われたりすることもあって、
住民を保護するために軍事的な介入をせざるを得ないこともでてきたんだ。

治安維持活動も駆けつけ警護も危険が高い

ポン

じゃあ、日本の関わり方もそれにあわせて変更した方がいいんじゃない?
治安維持活動ってさ、自衛隊が現地でパトロールとかして、
悪い奴がいたら戦ってやっつけるんでしょ?
かっこいいよな~。

アン

そんなに単純な話ではないよ。

紛争現場では、住民、反政府グループ、政府系の民兵が混在していて、
誰が敵で誰が味方かを見極めること自体が難しいんだ。

「治安維持活動」っていう言葉からは、危険な印象を受けないかも知れないけれど、
自爆テロとか、武装集団の襲撃とかが繰り返し起こるような状態での活動は
危険と隣り合わせなんだよ。

現にさっきのISAFの活動でも、NATO軍に3500人の死者がでているし、
イラク戦争でも、米兵の犠牲者は、本格的な戦闘のときより駐留活動中の方が多いんだ。

タン

駆けつけ警護は、武装集団に襲われている他国の軍隊とかNGOを助けに行くんだよね?
それで武器を使うんだから、相手も応戦して本格的な戦闘になる可能性はすごく高いね。

図1
(図は朝日新聞デジタルから)

必要性があるのか?

アン

そうだね。自衛隊員に死傷者が出るのは、ほとんど確実だと思うよ。
それと、現地で活動するNGOは、自衛隊がそういう活動をすることに反対している

タン えっ、そうなの!?

アン

紛争地域で活動するNGOが安全に活動するうえでは、中立性の確保がもっとも重要で
軍と関係があるとみなされると、攻撃を受けるリスクが高まってしまうからなんだ。

タン 現地のNGOが反対しているのに、やるっていうのは不思議な話だね。

憲法との関係

アン 憲法9条があるのに、自衛隊が海外で武器を使っていいのかという問題もある。

タン 確かにそうだね。政府はどういう説明をしているの?

アン

「国またはこれに準じる組織」に対する武器の使用は、武力行使にあたるからできないけれど
それ以外の集団に対しては武器を使用しても問題はないと説明している。

タン ふ~ん。そういうもの?

アン

これまでは海外での武器使用は、
「武力行使にあたるという疑いを否定できない」とされてきたから、
そんなに幅広く武器使用を認めてしまっていいのかという疑問があるよ。

タン 国またはこれに準じる組織に対しては武器を使用しないっていうのは確かなの?

アン でも「国に準じる組織」の捉え方がこれまでと変わっているんだ。

タン どういうこと?

アン

日本が相手国の政府を承認していて、
その相手国の政府が領域を実効支配している場合には、
その領域内に「国に準ずる組織」は存在しないとみなすことにしたんだよ。

タン みなすって、そんなご都合主義的でいいの?

アン 恣意的な認定を防げないという批判が強いよ。

日本ならではの関わり方

ポン う~ん。結局どうしたらいいんだろう?

アン

PKOをどうするか、PKOに日本がどう関わるかというのは難しい問題だよね。
さっき国連PKOが武力行使を容認する方向にシフトしたという話をしたけれど、
その変更は必ずしも成功していないんだ。

タン

武力を行使するっていうことは、新しく敵を作り出すっていうことになるもんね。
アフガニスタン戦争、イラク戦争によって、「イスラム国」がつくられてしまったのは
武力行使による負の連鎖を象徴的に示しているね。

アン

そうだね。だから、「平和構築」における非軍事活動の重要性が再認識されていて、
自衛隊の活動も高く評価されるようになっているんだよ。

タン

いま南スーダンPKOで、日本の自衛隊が道路補修に携わっているけれど、
これは国連の潘基文事務総長がわざわざ来日して
要請したことを受けて派遣したものなんだよね。
日本の特徴を活かした日本なりの関わり方をしていく必要があるんじゃないかな。

ポン コムギパンさんは日本の技術を信頼してるってことか。

タン コムギパンじゃなくてパンギムンだよ。怒られるぞ!

ポン パンの話をしてたらお腹すいてきちゃった。続きはまた今度だね。

タン またこのパターンか。。。

(続く)