4年連続4回目
11月1日(金)、上越市立直江津中学校の2年生(約120人)向けに、薬害教育の授業をしてきました。直江津中学校では、4年前から毎年授業の機会をいただいており、今回が4回目ということになります。
今回一緒に行って下さったのは、薬害肝炎全国原告団代表の及川綾子さん。及川さんはこれまでに3回新潟県内の中学校でお話をして下さっています。
授業の流れ
今回の授業は、「人権講演会」という枠で、2コマ分の時間をいただけたので、及川さんとも相談して、全体の構成をいつもとは少し変えることにしました。被害者の方のお話を聞いたうえで、①薬との付き合い方を考える、②差別をなくすためにどんなことができるかを考える、という2つを授業の目標に設定しました。
及川さんのお話
及川さんは、もともと小学校の先生をしていらっしゃいました。今から37年前に双子を出産した際、大量の出血が止まらず、止血剤としてフィブリノゲン製剤を投与され、C型肝炎に罹患しました。
当時、C型肝炎を治すための治療法は、インターフェロン治療しかありませんでした。インターフェロンは激しい副作用を伴ううえ、治療しても治る確率はそれほど高くありませんでした。及川さんは、実に7度にわたって、このインターフェロン治療を受けました。高熱、頭痛、吐き気、下痢、めまい、脱毛、味覚障害、不眠、うつなど、強烈な副作用とたたかいながら打たれた注射は、全部で600本以上、闘病生活は25年以上にも及びました。
生徒さん達は、時折メモを取りながら、真剣な表情で話に聞き入っていました。取材にきていた記者さん達も熱心に話を聞いてくれていました。
薬との付き合い方
「薬との付き合い方」のところでは、過去の薬害事件や、副作用被害について説明したうえで、以下のようなことをお話しました。
薬は私たちが健康に暮らしていくうえで欠かせないものだが、危険な面もある。薬の危険には、薬害だけではなく副作用もある。また最近は、医薬品の過剰摂取(オーバードーズ)による重大事故も増えてきている。
薬の危険のうち、薬害や副作用被害は、自分だけが気をつけていても完全に避けることは難しい。それでも、そのようなリスクがあることを知っていれば、早めの対応ができ、被害を軽減できるかもしれない。
差別をなくすためにできること
「差別をなくすためにできること」のところでは、及川さんがご自身の体験をもとにお話してくれました。また、厚労省が肝炎等克服政策研究事業の一環でつくったサイトから、理解度クイズを出題し、生徒さん達に答えてもらいました。
また、私から以下のようなことをお話しました。
差別のもっとも大きな要因は偏見にある。偏見は多くの場合無知から生まれる。だから正しく知ること、知ろうとすることが重要。ただ、偏見は自分では気づかないことも多い。自分の偏見に気づけるようにすること、指摘されたらきちんと受け止め、偏見を解消していくことが大切。
また、不安感や恐怖心が差別の原因となることもある。不安や恐れは本能に基づくものなのでそれ自体を無くすことはできないが、それらを差別につなげないようにすることはできる。
差別をしないためには、いろいろな力が必要で、「差別をしないようにしよう」と思っているだけでは、差別を防ぐことはできない。差別をしないというのは、実は結構難しいこと。それでも差別をしないために、差別をなくしていくために、いろいろな力を身につけて欲しい。
終了後のお礼の挨拶
授業の最後に、生徒さんの代表で男の子がお礼の挨拶をしてくれたのですが、私たちが話したことのポイントをしっかり押さえたうえで、自分がどのように感じたかを自分の言葉でしっかり語ってくれて、感心しました。
報道
『上越タイムス』2024年11月4日付4面に、記事が掲載されたので追記します。ありがとうございます!
『新潟日報』2024年11月19日付17面に記事が掲載されたので追記します。ありがとうございます!