『上越よみうり』に連載中のコラム、「田中弁護士のつれづれ語り」。
2021年9月29日付に掲載された第119回は、「時代に応じた校則の見直しを」です。篤子弁護士が「こども憲法川柳」への応募呼びかけとあわせて、全国的に見直しの動きが広がっているブラック校則問題について書きました。
時代に応じた校則の見直しを
こども憲法川柳を募集中
「無関心 私の未来 守れない」
こちらは第3回こども憲法川柳(関東弁護士連合会主催の川柳コンクール)で優秀賞を受賞した県立高田北城高校3年生の作品です。関弁連では、今年度も、管内の小学5年生から高校3年生を対象に、日本国憲法を題材とした川柳作品を募集しています。例年は憲法9条がテーマでしたが、今年度から、いじめ、ブラック校則、コロナ禍における教育を受ける権利、同性婚、選択的夫婦別姓、LGBTQ、貧困問題など、憲法や人権に関わる幅広いテーマで作品を募集することになりました。
地域によっては、事前に弁護士会に依頼して憲法の出張授業を行い、その内容を踏まえて生徒たちに川柳を考えてもらうという取り組みをしている学校もあります。関心のある方は、ぜひ当事務所までお問い合わせください。
ブラック校則問題
さて、上記にも出てきましたが、近年、ブラック校則の問題が注目を集めています。きっかけになったのは、2017年に大阪府立高校の元女子生徒が髪の黒染めを強要されたことにより不登校になったとして学校に損害賠償を求めた裁判で、これ以後、各地で見直しの機運が高まりました。ブラック校則は、生徒の服装や行動を、社会の常識からかけ離れて過度に規制したり、現代の事情を無視して不合理に規制したりする校則などを言いますが、具体的には、例えば、肌着や靴下の色柄指定、ツーブロックやポニーテールといった髪型規制、店舗の出入り禁止や友人宅への外泊禁止などのプライベートの行動規制などが挙げられています。2019年には「ブラック校則」というタイトルの映画やドラマが公開され、メディアでもたびたび取り上げられるなど、いまや社会の大きな関心事となっています。
文科省の通知
こうした中、文部科学省は、今年6月、全国の教育委員会や地方公共団体の担当課などに対し、「校則の見直し等に関する取組事例について」と題する通知を出しました。この中で、同省は、校則の教育的意義を発揮するためには、教員がいたずらに規則にとらわれて,規則を守らせることのみに腐心するのではなく、児童生徒が校則を自分のものとして自主的に守れるよう指導することが重要だと指摘しました。その上で、児童生徒や保護者との間で、校則の内容や必要性についての共通理解が得られることが重要であり、児童生徒の実情,保護者の考え方,地域の状況,社会の常識,時代の進展などを踏まえて校則の内容を絶えず積極的に見直さなければならないと呼びかけています。
校則見直しの積極的意義
上記の文書では、全国各地の教育委員会や学校における校則の見直し等に関する取組事例が紹介されており、例えば、児童生徒が校則について話し合う機会を設けたり,PTAにアンケートをしたり、学校のホームページに校則を掲載して見直しを促したりといった取り組みがみられます。文部科学省によると、こうした校則の見直しは,児童生徒の校則に対する理解を深め,校則を自分たちのものとして守っていこうとする態度を養うことにもつながり,児童生徒の主体性を培う機会にもなる有意義なものであるため、各教育委員会や学校等において、各地の取組事例を参考にしながら積極的に取り組んでほしいとのことです。
さて、私の息子の通う学校でも、下着の色指定や細かい髪型規制など、全国の学校で見直しが進んでいるような「ブラック校則」がまだまだ残っています。子どもの精神的苦痛もさることながら、私自身も、保護者として、学校から一方的に指定された細かいルールをすべて把握し、それに対応した衣類をその都度用意しなければならないという、息子が小学生だった頃には感じることのなかった子どもの服装管理に関する精神的・経済的負担に参っています。子どもたちの人権を保障するためにも、働く親の子育て負担軽減という意味でも、今後、上越市においても、文部科学省の上記通知を踏まえて、ブラック校則の見直しに積極的に取り組んでいただきたいと思います。
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