8月28日(金)、長岡地区9条連の総会にお邪魔して、憲法講演会をしてきました。新潟県9条の会で事務局長をしていらっしゃる工藤和雄弁護士が私を講師に推薦して下さったとのこと。尊敬する大先輩からのご指名ということで、気合いが入りました。
まさかの辞意表明
この日は、午前中が家庭裁判所で調停、午後は隣の市に移動して自治体主催の法律相談(30分×8人=4時間)、そして夕方から長岡市でこの講演会というスケジュール。それぞれの移動時間がぎりぎりで、ちょっとでも何かの時間が延びてしまうと破綻してしまいかねないという綱渡り状態でした。
そんななか、午後の自治体法律相談の合間に、安倍総理がこの日の会見で辞意表明する意向であるらしいことを知って驚愕。急遽講演内容を変更しなければならなくなり、車で講演会場へと向かう道すがら、総理の記者会見を音声で聞きながら変更点を考えました。
会場近くのコンビニで、食べ損ねた昼食代わりのパンを買った際に、レジ横に置いてあった新潟日報の号外をゲット。それを掴みのためのアイテムとして使うことにしました。
乾杯の発声?
講演の冒頭で、簡単に自己紹介した後、大見出しに「安倍首相が辞意」と書かれた号外を示しながら、移動中に聞いた総理の記者会見の内容について簡単にコメント。「さて、今日ご依頼いただいていた講演テーマは、『当面する安倍9条改憲発議反対の取り組みについて』です。『安倍9条改憲発議』はなくなったので、そのことをお祝いする乾杯の発声をして帰ってもいいですか?」と言い、笑いをとったうえで講演の本題に入りました。
講演の全体像は大体こんな感じ。パワーポイントを使いながら、事前に準備していた内容にちょこちょこ修正を加えながらお話しました。
- 明文改憲
9条の例外規定を明文化
「現にある自衛隊を書き込むだけなので、何も変わらない」は本当か - 自衛隊の変化
敵基地攻撃能力保有論
安保法制で変わったこと - 私たちがやるべきこと
憲法9条の価値を伝える
自衛隊の実態に目を向ける
明文改憲について
まずは、9条の明文改憲について。
9条1項・2項は維持したまま9条の2を創設するという案について、「現にある自衛隊を憲法に書き込むだけなので、何も変わらない」と説明されているが、実際には「必要な防衛の措置」をとることも規定されており「現にある自衛隊を書き込むだけ」とは言えないこと、また「何も変わらない」ということはまったくなく「私たちの生活にも直接・間接に大きな影響が及ぶこと」をお話しました。
大きく変わりつつある自衛隊の実態
次に、大きく変わりつつある自衛隊の実態について。
『安倍9条改憲』はなくなったが、「9条が守られたからそれでよかったね」という訳にはいかない。既に自衛隊は、組織も、装備も、任務も権限も大きく変わっており、今後もさらに変わっていくことが予定されている。9条の規定とも、専守防衛とも、かけ離れた実態が既にあり、そのこと自体の問題をしっかり認識・把握し、広めていかなければならない。
いま進められている敵基地攻撃能力保有論は、専守防衛を大きく踏み越えるものとならざるを得ないこと、防衛政策としても合理性を見出しがたいこと、それでもイージス・アショア断念のどさくさに紛れて拙速に決められようとしていること等をお話しました。
そして、安保法制の内容についてもおさらいしました。
安保法制について、「集団的自衛権の行使が可能になった法律」という認識しかない人が多い。しかし、後方支援や、武器使用基準などについても変更されている。自衛隊の実態が大きく変わっている背景には安保法制があるので、両方をセットで理解・把握することが大切。
自衛隊と米軍の関係はどんどん一体化を深めている。それと同時に米軍の戦略はどんどんアグレッシブに変化してきている。こうした流れの必然の結果として、自衛隊が米軍の起こす紛争に巻き込まれるリスクも高まっている。その現実を広めていくことが必要。
どういう取り組みをしていくべきか
最後は、どういう取り組みをしていくべきかというお話。
9条の価値(意義、魅力、生命力)をしっかり語っていくこと。広げるための方法論は、アクションリストを参考に。徹底したメディア対策を行っていた安倍総理が退いたことを契機として、報道の自由を取り戻すことができるかどうか。私たちの意識や行動にもかかっていると思う。
前県知事で、新潟5区からの出馬を目指している米山隆一さんが来ていて、私の講演の前に挨拶をしていらっしゃいました。任期途中で知事を退くこととなってしまったことについてのお詫びとともに、政治家としてやり残したことがある、またチャレンジする機会をいただければありがたいと決意を語っていました。時折涙をこらえながら訴える姿を見ていて、内側からこみ上げてくる様な強い思いが伝わってきました。是非がんばっていただきたいです。