1 事前の準備など
ホームで
6月25日、地元上越市で、久々に憲法カフェをしました。
いつも声をかけてくれるおなじみの方の主催で、場所もおなじみの「ラ・ソネ」さんということで、完全にホームでの開催です。
多種多様な参加者
前日に参加見込み人数を確認したところ、7~8人というお話だったので、距離の近さを活かして双方向でのやりとりがたくさんでそきうだなと考えていました。
ところが当日蓋をあけてみると20人くらいの方がいらっしゃり、駐車場も資料も足りなくなるという、うれしい誤算状態に。離れた場所の駐車場に駐めにいってもらったり、追加の資料をコピーしに事務所まで戻ったりして、開始が15分くらい遅れることとなりました。ただ、そういった対応がしやすかったのも、ホームならではという気がしております。
参加して下さった方は、高校の先生、メディア関係の方、合鴨農法を実践していらっしゃる農家の方、10代の女子学生、生後数ヶ月の赤ちゃんを連れた女性などなど、年齢も性別も多種多様でした。これまでに憲法カフェに参加して下さったことがあるリピーターの方と、今回が初参加の方とのバランスもほどよい感じでした。
憲法の視点から
最初にオファーをいただいた時点では「ダブル選挙か」という話もあったので、選挙の話がメインになるのかな、以前やったときには「質問時間を増やした方がより興味や関心に沿う話になったかも知れない」と終わった後に反省したような気がするな~などと、ぼんやり考えていました。
そんなこんなで、当初は、冒頭で憲法のことや憲法改正のことを手短にお話しして、後は質問タイムで「何でも聞いちゃおう」にしようと思ったのですが、いざいろいろ聞かれたときにきちんと答えられなさそうなところを調べておかなければと思い至り、最近トピックになったことを確認し直すことにしました。
いろいろ調べ直すなかで、改めて気づいたことや知らなかったことがたくさんでてきて、それを整理したい衝動に駆られてつくったのがこちらのレジュメです。で、せっかくレジュメを作ったので、結局これに沿ってお話することにしました。
なお、選挙の争点になりそうな事柄を憲法に照らしてどのように評価するかという視点は、憲法カフェ当日の朝に思いついたことです(笑)。各党の公約が出そろっていない段階で話をするうえでは、憲法という土台を設定したのはよかったかなと思います。
2 お話したことの概略
お話したことの概略は以下の通りです。
きほんのきでつまずく(笑)
導入で、選挙の基本を簡単におさらいして~、と思っていたのですが、定数が増えた理由や経過などを話し出したら意図せず難しめの話に突入してしまい、こんなことを導入で話したらダメなのよと思いつつ、ささっと済ませることにしました。
防衛・安全保障は、実態論をメインに
憲法9条改正については、法律論を話し出すと時間がかかり、かつ内容も難しくなってしまうので、自衛隊の実態が今どの様になっているのか、今後どの様に変わろうとしているのかという点を中心にお話。
陸上総隊や「日本版海兵隊」と呼ばれる水陸機動団が新設された話、空母や長距離ミサイルなど「攻撃型兵器」が導入されつつある話、イージスアショアやF35戦闘機などに関して指摘されている問題点などを説明すると、みなさん興味深く聞いてくださいました。
憲法9条を改正しなくても自衛隊は既にここまで変わっている。だから、憲法9条が改正されなければそれでよいとはとても言えないというのが1つ。憲法9条が改正されたら、最後のたがが外れてさらに歯止めがきかなくなるというのがもう1つ。その両面をきちんと押さえることが大切だと思うと伝えました。
経済・暮らし・社会保障は、憲法25条の視点から
憲法25条の1項と2項を改めて読み直し、国が進めている政策は、この要請に応えるものになっているでしょうか、と問題提起。
アベノミクスの成果としていろいろな指標が示されるが、生活実感からはかけ離れたものばかり。選挙の度に「道半ば」などと言われてきたが、実際の暮らしが楽になったと感じられない方も多いのではないか。実質賃金や実質可処分所得が減っているのだから、ある意味では当然のこと。
年金の2000万円報告書問題について、「不正確だ」「誤解だ」という指摘もありそれ自体は誤りではないが、本質論ではない。社会保障の「向上及び増進に努めなければならない」はずの国が、国民の不安や疑問にまともに向き合おうとせず、説明すらしようとしないのは明らかにおかしい。野党側からは財源も含めた提案がいくつか出されていて、注目される。
外交は時間の都合であっさりと
自民党が参院選公約の1番に掲げているのが外交。ただ、北朝鮮、ロシア、アメリカなど、経過や現状を詳しく見ると、「外交の安倍」という看板には疑問符がつく。
唯一の戦争被爆国であり、批准を求める地方議会決議も数多く上がっているなかで、核兵器禁止条約の批准を拒否し続けているのも、大きな問題ではないか。
公文書クライシスは民主主義の問題として
準備の過程で、公文書関連の問題を見返したとき、選挙で投票する先を判断する際にこの点を忘れたままで考えてはいけないなと改めて思った。何にもないまっさらな状態から政党の政策や公約を比較して選ぶのではなく、6年半にも及ぶ長期政権でなされてきたことをどのように評価するのかをまず考えるべきではないか。
PKO日報問題、森友・加計問題、勤労統計不正問題等々を通して、近代官僚制の基礎にある「文書主義」が無惨に損なわれた。特に決裁文書は、行政の正確性を確保し、責任の所在を明確にするもの。それが書き換えられれば行政そのものの信頼性が失われることとなる。
公文書をきちんと管理し、情報を公開し、事実に基づいた議論が行われるのが、民主主義の前提。それらの根本がないがしろにされたというのは極めて重大な問題。
終了後の懇談
終了後は、ランチをいただきながら懇談しました。
子育て世代の方は「普段は家事で手一杯で世の中の出来事を追えていないので、選挙前のすごくいいタイミングで開催してくれて、説明も丁寧でわかりやすくて、ほんとに助かりました~」という方が複数いらっしゃいました。選挙前に改めて自分で考える機会をもちたいと思っている方々がたくさんいらっしゃることを改めて感じ、なんとも幸せな気持ちになりました。初めて参加された方が「上越よみうりのコラムを毎回楽しみにしています!」と言って下さったのもうれしかったです。
いつもそうですが、準備や当日の懇談などを通して私自身学べることがたくさんありますので、オファーがあれば積極的に対応したいと思っています。興味のある方がいらっしゃいましたらお気軽にお問い合わせください。