1 ワクチン推奨声明
3月31日、「私たちは、子宮頸癌(HPV)ワクチンの正しい理解を求め、その接種を推奨します。-女性と子供、そして、家族と国を守るために-」という声明が、「HPVJAPAN」という名義で公表されました。
2 声明の内容に関わる問題点
(1)ワクチン接種との因果関係を否定
この声明は、HPVワクチン接種後に生じている重篤な健康障害について、
時間的前後関係があるだけの「紛れ込み」であるとして、因果関係を否定し、
この健康障害に関する報道を批判しています。
しかし、因果関係は、時間的前後関係だけを根拠に論じられている訳ではありません。
- 他のワクチンとは傾向が異なる重篤な症例が多数発生していること
- 多数の症例には症状の共通性があり、同一の原因によることが推測されること
- ワクチン接種後まもなくそれまでに見られなかった症状を発症する例が多く存在すること
- 患者の症状には、既成疾患では捉えきれない特徴があること
- デンマークにおける症例と国内患者の症例に共通性があること
- HPVワクチンはヒトの免疫反応を格段に強く活性化するように設計されており、
患者らの自己免疫性疾患と整合する症状との関連が推測されること
以上のような事実関係を総合した結果、因果関係の存在が強く疑われているのです。
また、「因果関係が否定できない限り、因果関係があるものという前提で安全対策を行う」
という予防性原則が、過去の薬害の教訓に基づく実務の運用です。
因果関係があることを科学的に証明できる時点では、既に多くの被害者がでてしまっているからです。
誤った見解に基づき、また実務の運用も否定する立場から、
ワクチンを推奨する声明には大きな問題があります。
(2)不正確な記述
また、声明は、日本における子宮頸がん罹患率及び死亡率はいずれも
概ね米国、英国と同じレベルにあるにもかかわらず、
「米国、英国などの2倍という悲惨な状況です。」としています。
事実に関する正確性を欠いている点でも、この声明には問題があるといえます。
(3)被害者に対する配慮を欠く記述
さらに、声明は、重篤な健康被害が「紛れ込み」に過ぎないという前提にたって、
「HPVワクチン接種後に交通事故で亡くなったケースや、
HPVワクチン接種後に成績が向上して高校・大学に合格したことを、
HPVJAPANワクチンのせい(副反応)あるいはワクチンのおかげ(効果)と呼ぶでしょうか?」
等と批判的に述べています。
健康被害に苦しむ被害者や家族に対する配慮を欠落させたこのような記載は絶対に許されません。
3 「HPVJAPAN」の実態は?
声明の呼びかけ人は、HPVワクチン製薬企業から多額の寄付を受けている
「子宮頸がん制圧をめざす専門家会議」議長の野田起一郎氏、実行委員長の今野良氏です。
また、「HPVJAPAN」の連絡先電話番号は、「子宮頸がん制圧をめざす専門家会議」の
事務局の電話番号と同一であり、関連性が疑われます。
なお、薬害オンブズパースン会議がこの事実を指摘した後、「子宮頸がん制圧をめざす専門家会議」の
ウェブサイトから電話番号の記載が削除されたということです。
関係を説明せず、隠蔽しようとする姿勢は、疑念を深めるものといえます。
4 被害者団体による抗議声明、弁護士団体の見解
全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会による抗議声明を取り込んだものを貼り付けます。
また、薬害オンブズパースン会議の見解が出ていますのでリンクをはっておきます。