遠方からの参加者も
9月20日(金)、楾大樹弁護士をお招きして、「憲法のおはなし 檻の中のライオンin上越」を開催しました。
平日午後の開催であったため参加者数が心配されましたが、当日はおよそ30人の方がお集まりくださいました。上越市だけではなく、柏崎市、糸魚川市、六日町(南魚沼市)、長岡市等々、遠方から参加された方もいらっしゃいました。また、主権者教育や法教育に熱心に取り組んでいらっしゃる教育大学の先生も、忙しい時間の合間を縫ってご参加くださいました。
面白くて、わかりやすくて、深い
楾弁護士の講演は、面白くて、わかりやすくて、なおかつ深いものでした。
面白いという言葉だけではなかなか伝わらないと思いますが、シンプルに娯楽として楽しめるくらい面白かったです。楾弁護士の軽妙なトークを聞きながら、「この人ほんとに同業者なのかな」「あれ?自分って憲法カフェのときどうやって話してたっけ?」とよくわからなくなってしまいました(笑)。
冒頭で、「みんなが人間らしく自分らしく生きていけるようにする」というのが憲法の「根っこ」であり、憲法の原理・原則(幹)や各条文(枝・葉)は、すべてそれを実現するためにあるという話がありました。要所要所でそのことに立ち返った説明がなされるので、参加者は、つながりや関係性を踏まえて憲法全体についての理解を深めることができます。
また、あまり馴染みのない原理や原則についても、パペットやスライドのイラストを使って、例え話を織り交ぜながらわかりやすく説明してくれます。そのうえで、それらに関連する時事問題が取り上げられるので、話を聞いているだけで自然と、現実社会の問題を憲法に照らして考えるという思考スタイルが身につくのではないかと感じました。
自由自在な語り口
楾弁護士の自由自在な語り口に笑ったり唸ったりしなから、あっという間に講演時間の2時間半が終わってしまいました。特に印象に残った点を2つだけ紹介します。
民主主義≠多数決という点についてのお話では、プロ野球チームのマスコット達がパペットとして登場。パペット同士の掛け合いで、どのチームを応援するかを多数決で決めることの理不尽さをわかりやすく語りました。
小学校の教科書で憲法がどのように取り上げられているかについては、具体的な記載内容を紹介しながら説明してくれました。どの教科書にも自由権についての記載がないこと、それは憲法は国家権力を縛るものであるという立憲主義についての説明が欠落しているためではないかと考えられることなどの話を聞いて、重大な問題だと感じました。
自分の何かを削ってでも
楾弁護士は、憲法96条の改正が大きく取り沙汰された2013年頃から、憲法に関する取り組みを本格的に始めたそうです。
憲法改正案の発議に「総議員の3分の2以上」の賛成が必要とされているのは、与党だけで『檻』を変えてしまうことができないようにするという意味合いがあるのに、「過半数」にしてしまえばライオンが簡単に檻を作りかえることができるようになってしまう。憲法を学んだ者からすれば、およそあり得ないめちゃくちゃな提案であるのに、それを掲げた選挙で与党が勝ったことを目の当たりにして、「これから先憲法が攻撃され、壊されていくに違いない」という危機感を覚えたということでした。
その後の6年間は、残念ながら楾弁護士が予想した通り、ライオン(国家権力)が檻(憲法)を壊そうとしたり、檻がないかのように振る舞ったりすることが繰り返されました。楾弁護士はいま時間や労力の大半を憲法の講師活動に注ぎ込んでいらっしゃいます。楾弁護士は、他の弁護士の取り組みも紹介したうえで、「多くの法律家が自分の何かを削ってでもがんばらなければならないと考えている。それほどまでに危機的な状況であることを知って欲しい。」と語りました。
そして、「知る→考える→行動する」という過程を一人一人が実践していくことが大切。参加者が次は主催者になるという連鎖が全国各地で起こって今日380回目の講演会開催へとつながった。次はみなさんが主催者になって欲しいと訴えました。
メディアの取材・報道
NHK、上越タイムス、上越タウンジャーナル、上越よみうりの記者さん達が取材に来てくれました。
NHKは、早速9月21日のお昼の県内ニュースで取り上げてくれました。NHKのサイトでも見られるようになっているので、リンクをはっておきます。
上越タウンジャーナルは、9月22日付の記事をアップしてくれました。2枚の写真入りで、講演内容についてもかなり詳しく触れています。こちらからご覧いただけます。
上越タウンジャーナルのサイトから
上越タイムスも、9月22日付紙面に大きなカラー写真入りで掲載してくれました。こちらもサイトのリンクをはっておきます。
*9月25日付追記
『上越よみうり』9月23日付にも大きな写真入り記事が掲載されました。なんと7段にわたる大きな記事です。