東京地裁で第1回期日が行われました
HPVワクチン薬害訴訟は,国の勧めに従ってHPVワクチンを接種した結果,深刻な副反応被害を受けた若い女性たちが,国と製薬会社(グラクソ・スミスクライン株式会社,MSD株式会社)を相手に,7月27日,東京,名古屋,大阪,福岡の各地方裁判所に一斉提訴した集団訴訟です。
この訴訟の概要については,以前のブログでもご紹介しています。
名古屋,大阪,福岡の訴訟は昨年から始まっていますが,
先日(2月13日),東京地裁でもようやく第1回口頭弁論期日が開かれました。
この日の様子は,HPV薬害訴訟全国弁護団のHPで紹介されていますので,ぜひご覧下さい。
傍聴に行ってきました
当日は,多数の方が傍聴に来られることが見込まれたため,傍聴券の抽選に外れた方のために別会場で弁護士の説明会が企画されていました。
弁護団に所属している当事務所の田中淳哉弁護士は,その企画の司会進行を任されていました。
そのため私(篤子)がかわりに法廷の様子を見てこようと思い,傍聴に行くことにしました。
当日,東京地裁の正門前に着くと,すでに多数の報道陣や傍聴希望者が並んでいました。
制服を着た若い女性や,中高生のお子さんをもつ母親世代の女性が目立ちました。その他にも,大学生や年配の方など,色々な方がいらっしゃっていて,傍聴希望者は200名近くに上ったようです。
当然,傍聴券は抽選となり,倍率もかなり高かったため,当選は厳しいかな?とドキドキしましたが,幸いなことに抽選に当たり,法廷に入ることができました。
審理がはじめる前の満席の傍聴席には,静かな熱気が漂っていました。
見て聴いて分かる裁判
当日は,書面の提出にとどまらず,法廷で,弁護士や原告本人が,それぞれの意見を口頭で述べる意見陳述の機会が与えられていました。
民事裁判を傍聴したことがある方は,「民事裁判は,傍聴しても何をやっているかよく分からない」と思われた方も少なくないと思います。
しかし,HPVワクチン薬害訴訟では,弁護団が,「傍聴者や報道陣にもよく分かる裁判を」という方針のため,毎回,口頭で主張の概要が説明されることになるそうです。それだけでなく,裁判終了後には,弁護団が裁判の報告集会を開き,そこで当日の裁判について振り返り,説明,質疑応答をしてくれるそうです。
私も,当日まで訴状の内容などはほとんど把握していなかったのですが,傍聴席で話を聞いているだけで,それぞれの主張や争点がどこなのか,根拠としている証拠やデータはどういうものなのかが分かりました。
関心のある方は,ぜひ一度傍聴に来られるといいと思います。
原告「データとしてではなく,一人の人間として見てほしい」
原告として出廷していた女の子たちは,街などでよく見かけるような,本当にごくごく普通の女の子たちでした。彼女たちの姿を見ただけで,HPVワクチンを接種する前の元気だった姿,彼女たちの本来の自然な姿がフワーッと頭に浮かんでくるようです。
それだけに,彼女たちの車いすに乗った姿は,「大人たちの勧めに従ってHPVワクチンを投与しただけなのに,どうして?なぜ?」という理不尽さを,胸に突きつけてくるような気がしました。
中学生の時にワクチンを接種したという原告の一人は,意見陳述の中で,「どうか,私たちを,単なるデータとして見ないで下さい。一人の人間として見て下さい。」と訴えました。
私は,その言葉が,とても胸に響きました。
ワクチンの危険性や原告らの症状との因果関係を否定する被告は,様々な臨床試験のデータを出してきます。しかし,それらのデータが表す数字が,たとえば0.01%や0.001%といったごくわずかな数字だったとしても,それが示しているのは一人の人間であることを忘れないでほしいという,人としての尊厳を訴える言葉だったからです。
裁判官にも,彼女の言葉が響いていることを祈ります。
報道
各種メディアの報道のうち、ネットで確認できたものについて、リンクをはっておきます。
●日テレNEWS24
「子宮頸がんワクチン訴訟『責任受け止めて』」
●テレ朝NEWS
「【報ステ】子宮頸がんワクチン”副作用”訴訟」
●TBS News i
「子宮頸がんワクチン訴訟、国・製薬会社は争う姿勢」
●日経新聞Web
「子宮頸がんワクチン訴訟、製薬会社など争う姿勢 東京地裁」
●時事ドットコムニュース
「東京でも弁論始まる=子宮頸がんワクチン訴訟」
●北海道新聞(どうしんウェブ)
「子宮頸がんワクチン訴訟 『健康な体返して』 国など争う構え」
●下野新聞
「子宮頸がん、東京訴訟も争う姿勢 ワクチン問題で国と製薬2社」