つれづれ語り(育児と仕事の両立)


先月から夫婦で担当している「上越よみうり」のコラム「田中弁護士のつれづれ語り」。
2月1日付朝刊に,第2回が掲載されました。
今回は,私(篤子弁護士)が書いています。

「何でも自由に書いてください」という有り難いオファーでしたので,
その時々で,興味関心を持ったこと,気になって調べてみたいと思ったことなどを
本当に「つれづれなるままに」書き連ねていこうと思っています。

役に立つ法律知識もそれなりに(笑)盛り込んでいくつもりですが,
それがメインのコラムというわけではないので,そこはご容赦くださいませ。

「こういうテーマを書いてほしい」というリクエストやネタの提供などがありましたら,
ぜひぜひお寄せ下さい!

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はじめまして。弁護士の田中篤子です。先月から,田中淳哉弁護士と交互にこちらのコラムを担当することになりました。

私は,現在,1歳から小学生までの3人の子を育てながら働いています。仕事と育児の両立は大変ですが,3人目ともなると,育児や家事の手の抜きどころ,仕事とのバランスの取り方なども分かってきます。私の場合,1人目のときに頑張りすぎて失敗した経験から,今はもっぱら「無理をしない」ことがモットーとなっています。闇雲に我慢や努力を重ねるより,「無理をしない環境作り」のために努力・工夫をしたいところですね。

さて,この時期,産休,育休を経て,4月の職場復帰を控えた女性も多いと思います。久しぶりに仕事に復帰できる喜びもある反面,子育てと仕事を両立できるか,職場の理解を得られるかなど,不安を抱える方も多いでしょう。
職場復帰後は,生活リズムの変化に加え,子どもを保育施設に預けることへの不安,仕事に対する不安など,心身に大きなストレスがかかります。また,食事やお風呂などの子どもの世話に加え,復帰後は,保育施設への朝晩の送り迎えも加わり,産休前とは労働条件が大きく異なる中で働くことになります。

そんな中,できるだけ無理をせずに働き続けるためには,各種制度の内容をよく理解し,上手に利用していくことが大切ですね。

3歳未満の子どもを育てている方は,1日の労働時間を6時間までとする「短時間勤務」を会社に申請することができます(育児介護休業法23条1項)。
これに加え,1歳未満の子どもを育てている方は,1日2回,各30分以上の「育児時間」を請求することができます(労働基準法67条)。
「育児時間」は,もともと授乳の時間を想定して設けられたものですが,育児全般(保育園の送迎なども含む)のために利用することができます。どのタイミングで取るかは働く側が自由に決めることができますし,「短時間勤務」と「育児時間」を併せて利用することもできます。

したがって,例えば,「短時間勤務」により午前9時出社,午後3時45分退社(昼休み45分)となる方の場合,さらに朝夕各30分ずつ「育児時間」を取得して,午前9時30分出社,午後3時15分退社にすることが可能です。
上越市内の保育園は,保育時間が午前8時30分から午後4時30分まで(早朝・延長保育を除く)のところが多いので,これであれば,有料の早朝・延長保育を利用せずとも,ゆとりを持った通勤が可能になりますね。

なお,「短時間勤務」も「育児時間」も,請求された会社側には基本的にこれに応じる義務があります。ですから,「うちにはそんな制度はない。」,「契約社員だから使えない」などと言われた場合も簡単に諦めず,法律の条文や就業規則などで制度をよく調べて頂きたいと思います。お困りの際は,都道府県労働局,社会保険労務士,弁護士などにご相談ください。