選挙の争点


1 「あすわか」の候補者向けアンケート

明日の自由を守る若手弁護士の会では、衆議院選挙の候補者にアンケートをお願いしています。

アンケートの項目は以下の4つで、選択した理由についてもあわせておたずねしています。
アンケートの対象は、今のところ、新潟のほか、北海道・東京・埼玉・静岡・大阪・京都・岡山・福岡の各選挙区の候補者です。

週明け頃には集計結果を公表できるかと思いますので、今しばらくお待ちください。

質問1.集団的自衛権の行使容認に  賛成・反対・どちらともいえない

質問2.武力行使の要件に関する本年7月1日付閣議決定に 賛成・反対・どちらともいえない

質問3.自民党の2012年改憲草案に  賛成・修正した上で賛成・反対・どちらともいえない

質問4.12月10日施行予定の特定秘密保護法に  賛成・反対・どちらともいえない

2 選挙の争点は政権が決める?

(1)官房長官の記者会見

あすわかがアンケートをすることになったきっかけの1つは、菅官房長官が11月19日に行った記者会見にあります。
菅官房長官は記者会見で、「何で信を問うのかは政権が決める」として、集団的自衛権の行使を容認した閣議決定や、12月10日に施行される予定の秘密保護法の是非は、衆議院選挙の争点にならないと述べました。

でも、有権者は、政権が信を問うと決めた点についての判断だけをもとにして自分の投票先を決める訳ではなくて(もちろんそれも自由ですが)、自分なりに政党や候補者の政策や人柄などを検討して投票する訳なので、官房長官は随分おかしなことを述べたように思います。

(2)集団的自衛権を行使するための法整備

政府は、集団的自衛権の行使に必要な法整備を来年の通常国会で行うと言っていますので、今度の総選挙で当選した議員が、集団的自衛権の行使について審議していくことになります。
どのようなスタンスでこの審議に臨むのか、各候補者は当然この点について明らかにすべきです。

(3)秘密保護法についての説明

また、秘密保護法は、国内外の猛反対を押し切って強行採決されました
反対の声があまりに大きかったためか、安倍総理は記者会見で「私自身がもっともっと丁寧に時間をとって説明すべきだったと、反省もいたしております。」「今後とも、国民の皆さんの懸念を払拭すべく丁寧に説明をしていきたいと考えています」等と述べました。
この「丁寧な説明」は未だになされていませんので、選挙期間中に是非していただきたいと思います。

(4)争点にして欲しくないというのが本音

集団的自衛権の行使にしても、秘密保護法にしても、過去の国政選挙では争点になっていません。
菅官房長官の記者会見には、国民に信を問うことなく、また国民の猛反対を押し切って強行したことが後ろめたいため、これらのことは争点にして欲しくないという本音が示されているように思います。

3 新潟日報の記事

(1)記事の内容

今日の新潟日報朝刊に、「集団的自衛権なぜ問わぬ」という大見出しの記事が出ています。
港湾労働者の組合員の方、自衛隊駐屯地の近くに住む方、住職さん、大学生とあわせて、私のコメントも載っています。取材では、集団的自衛権と、秘密保護法について聞かれ、いろいろお話ししましたが、かなりコンパクトにまとめていただいたようです。。。

(2)まともな選挙はこれが最後に?

私が強調したなかで記事から漏れてしまったのは、「今回の選挙が秘密保護法による情報統制がないなかで行われる最後の国政選挙になってしまうかも知れない」ということです。

特定秘密保護法では、担当大臣の権限で特定秘密を指定できるとされています。
政権に都合が悪い情報は、私たちが知らない間に特定秘密に指定されてしまうおそれがあります。
このように恣意的な情報統制がされてしまうと、選挙の際に適切な判断をすることは出来なくなってしまいます。

日本が民主主義国家として生き残れるかどうかが問われている、とても大切な選挙だと思います。