これまでも何度か取り上げてきた子宮頸がんワクチンをめぐる問題の続報です。
2月22日付の朝日新聞(夕刊)が、子宮頸がんワクチンの副作用に関する、自治体の調査結果について報じています。
1 約4割が「体調変化」を訴える
子宮頸がんワクチンの接種者について、6つの市が独自に追跡調査をした結果、4割前後の人が何らかの体調変化があったと回答していたことがわかったということです。
記事によると、独自調査を行ったのは、神奈川県茅ヶ崎市、鎌倉市、大和市、愛知県碧南市、熊本県合志市、玉名市の6市。調査時点でも症状が続いていた人は、茅ヶ崎市で15人、鎌倉市で11人、大和市14人、合志市6人、碧南市5人となっています。
2 「調査すればもっと多くの被害がでてくる」
病院や製薬会社から、厚生労働省に対して副作用(注射部の痛みなどを含む)の届出があった件数は、2320件。販売総数は約890万接種分ということで、副作用の発生率は100万接種あたり260.4件。自治体の調査結果とはかなり開きがあります。
堺晴美・元東海大学医学部教授は、「接種後の健康異常の症状や発症時期が非常に多様だ。(中略)接種医が副作用と認めなかったり、本人や家族が気がつかなかったりしたケースが相当数埋もれている。全員の追跡調査をすればもっと多くの被害がでてくる」と指摘しています。
3 心理的要因説に対する疑問
以前このブログでも紹介したとおり、厚労省の検討会は、これらの副反応について、「心身の反応」が原因であるとしています。
しかし、信州大脳神経内科の池田修一教授は、「心理的要因では説明できない症状があり極めて乱暴な議論だ」と指摘しています。
同教授が診察した接種者20人は、手足の指の皮膚温度が通常より数度低いうえ血圧が低かったことから、「血流異常の可能性がある」とのこと。「血圧や皮膚の温度を上げるホルモンを心理的要因でコントロールすることはできない」ため、「心理的要因では説明できない」ということになります。
4 本格的な実態調査が不可欠
今月26日に開催される検討会で、接種の推奨を再開することが決定される可能性もあります。
薬害オンブズパースン会議・事務局長の水口真寿美弁護士は、「副作用について十分に情報提供できない状態は今も変わっておらず、接種の推奨再開は無謀だ」と述べています。
調査も検討も不十分なままで接種の推奨を再開すれば、新たな被害者を生み出すことになってしまいます。自治体の調査結果をうけて、国としても本格的な実態調査を行うことが先決だと思います。
*2月25日追記
薬害オンブズパースン会議が声明を出したので、リンクをはっておきます。