1 ブログや講演で
自民党の石破幹事長が自身のブログで、特定秘密保護法に反対するデモについて「単なる絶叫戦術は、テロ行為とその本質においてあまり変わらない」と記載したことが波紋を広げています。
2 イメージ戦略
これに対して、「私たちをテロリストと同一視するなんて許せない」といったトーンの批判も出ていますが、この点だけを強調するのでは石破氏の「思う壺」ではないかと思います。
というのは、石破氏の本当のねらいは、特定秘密保護法に反対している人たちは「絶叫戦術」をとるような傍迷惑で非常識な集団であると思わせ、「一般市民」の関心をこの問題から遠ざけることにあるからです。
上記のような批判では、強く言えば言うほど、「なにやら危なげな人たちが感情的に反対しているようだ」というイメージだけが広がり、批判者に対する心理的距離が離れてしまいかねません。
現に新聞では、「特定秘密保護法案に反対する市民団体らの絶叫調のデモ」について批判したなどと取り上げられており、「特定秘密保護法案に反対するデモ=絶叫調」ということが前提になってしまっています。
また、ネット上では「絶叫は保護すべき表現行為ではないだろう」と、石破氏の発言を支持する立場からの書き込みも見られます。石破氏はこのようにして所期の目的を果たしたため、あっさり「撤回」を表明したのでしょう。
3 自分の問題として
実際には、特に反原発の官邸前行動が定着して以降は、社会的な問題を取り上げたデモや集会に初めて参加する人が増えており、極めて整然とした行動が行われています。
このようなデモやパレードに対して「絶叫戦術」というレッテルを貼り、さらにはテロと同一視して拒絶感・抵抗感を持たせようとしていること全体とりあげて、丁寧に批判することが大切です。
同時に、この法案は一部の「特殊な人」だけが対象になるのではなく、自分も対象になりかねない、身近な問題であることを伝えていく必要があるでしょう。
私がこの問題について他人事ではないと感じるのは、これまでにも何度か取り上げてきたSPEEDIの問題があったからです。仮に、柏崎刈羽原発で事故が起こったときにSPEEDIの情報が公開されなければ、そうと知らずに高線量の地域に避難し、被曝することにもなりかねません。
現行法のもとですら公開されなかったのですから、この法律が成立してしまえば公開されるわけがないと思っています。このため、自分や家族の命や健康を守るために、私はこの法案に反対しています。
4 最後まで世論を
石破氏の発言は、与党の焦りの現れでもあります。
衆議院で強行採決したことで、世論の関心・批判が確実に高まりました。参議院でも強行採決することは難しい情勢になってきています。石破氏の発言も的確に批判材料にしながら、この法案の問題点を広げていくことが重要です。
*12月6日追記
雨宮処凜さんが、マガジン9条の会のブログで(石破って人にテロリスト呼ばわりされたんだけど?)すごく的確、かつわかりやすく書いていたのでリンクをはっておきます。