映画「標的の村」と沖縄のいま


1 ドキュメンタリー映画

「柏崎刈羽9条の会」の新春の集いのメイン企画が、「標的の村」の上映会でした。
ほんとに衝撃を受けました。そして、知らなかったことを恥じ入りました。

標的の村

沖縄の東村(ひがしそん)高江区(たかえく)という集落に、オスプレイも飛来するヘリパッドを建設する話が持ち上がりました。
この映画は、それに反対する現地の人びとの様子を記録したドキュメンタリー映画です。
琉球朝日放送が制作し、同局の三上智恵キャスターが監督をしています。

2 「標的」の意味

私は、ヘリパッド建設の候補地として標的にされているという意味だと理解していました。
そうではなく、高江は軍事訓練の標的にされようとしているのです。
もちろん正式にそのような説明があった訳ではないですが、それ以外に居住地域を取り囲むようにして多数のヘリパッドを建設する理由はありません。

ベトナム戦争当時、高江の近くにゲリラ戦を想定した訓練場(通称「ベトナム村」)がつくられたことがありました。
「ベトナム村」では、ベトナム風の家が建てられ、現地の村を襲撃する訓練が行われました。
この訓練の際、高江区民がベトナム人(すなわち軍事訓練の標的)の役をさせられました。
集落の小屋をめがけて焼夷弾が投下されたり、住民が銃を向けられたりすることも日常茶飯事だったといいます。

そしていままた、高江の人々は、標的にされようとしています。
米軍は、高江の人々を、標的、すなわち攻撃の対象物としか見ていません。
高江の人々は、人間の尊厳を踏みにじられ、それに抗するためにたたかっている訳です。

3 住民による非暴力の抵抗

住民の抵抗は、徹底した非暴力のたたかいです。
防衛施設局が強硬手段に出て、一触即発の事態になったときにも、暴力を一切用いず、歌を歌って抵抗します。
八重山諸島に古くから伝わる民謡で、抵抗の象徴として歌い継がれてきた「安里屋ユンタ(あさとやゆんた)」という歌で
す。

2012年9月29日、住民達によって普天間基地が封鎖されました。
沖縄戦の悲惨さを知る人々がオスプレイの配備に反対し、車を駐めてゲートを封鎖したのです。
機動隊が力ずくでこれを排除し、抵抗する住民に怪我人がでます。
議員も、弁護士も、報道関係者も含めて、そこにいた全員が強制的に排除されました。
ここでも「安里屋ユンタ」が歌われます。
レッカー移動される車のなかで女性が涙ながらに歌うのです。

4 辺野古でも

沖縄では、県知事選挙や総選挙で、辺野古の新基地建設反対の民意が明確に示されました。
しかし、政府は県知事からの再三再四の面会要請を拒否し、沖縄振興予算を減額するなど、民意を無視するスタンスを露骨に示しています。

現地では、海上保安庁職員や機動隊員による「過剰警備」が問題になっています。
海上保安庁は、制限水域外を航行する船まで停止させて、身柄を拘束しています。
また機動隊から暴行を受けて市民が骨折したり、4針縫う裂傷を負わされる事態まで起こっています。
負傷させられた市民は、海上保安庁職員らを特別公務員暴行陵虐罪で告訴するなどしていますが、事態は改善していません。

沖縄のいまを知るためにも、是非多くの方にみていただきたい映画です。