1 妻と長男の会話
長男「ねえ、パパって大学卒業したの?」
妻「うん、そうだよ」
長男「え~っ、じゃあなんで弁護士なんかになっちゃったの?」
松戸の事務所に所属していた頃に、よく休日の出張法律相談に連れていっていたせいか、長男は弁護士の仕事について、「なんか人とお話したり、パソコンでカチャカチャしたりするくらいだから、簡単でしょ」と認識しており、大学を卒業した人は「もっと大変な仕事」に就くものと思っていたようです。
2 妻と長男の会話(続き)
妻 (弁護士になるために必要なことについていろいろ説明)
長男「じゃあ、簡単になれるのはどういう仕事?」
妻「う~ん、一概には言えないけれど、アルバイトなら割と簡単に就けるかな」
長男「じゃあ、ぼくアルバイトになる」
妻 (アルバイト収入だけで生活していくのは大変であることについていろいろ説明)
長男 (少し悩んだ後で)「う~ん、でもやっぱりぼくアルバイトになるよ」
妻「・・・」
長男は以前「車を作る人になりたい」と言っていました。
その前は「お医者さん」、その前が「大工さん」で、「お花屋さん」と言っていたこともあります。そんな彼がなぜ「簡単になれる仕事」に方針転換したのかはわかりません。
3 非正規雇用の実態
(1)増える非正規雇用
ただ、みなさんもご存じのとおり、今やアルバイトを含む非正規雇用の労働者は年々増加しています。総務省の調査によると、平成25年には初めて2000万人を突破し、全就労者中の比率は38.2%にも達しているようです。
安倍総理はアベノミクスの効果で就業人口が100万人増えたとアピールしていますが、その内実は非正規雇用123万人増、正規雇用22万人減なんだとか。労働者派遣法が改正されてしまえば、さらに非正規雇用が増えることになるでしょう。
(2)若い世代の実態
特に深刻なのは、若い世代です。
正規の仕事がないから非正規で働いているという「不本意非正規」の割合がもっとも高いのは25~34歳で、約3割にのぼります(総務省調査)。
また、40歳未満の非正規社員のうち一度も正規雇用で働いたことがない人の57.1%が自活することができず、同居の家族に生活支援をしてもらっているという調査もあります。
子ども達にどんな社会を残すかというのは、親世代の課題であり責任でもあると思いますが、若い人たちの多くが真面目に働いても自活できないような社会を残すわけにはいかないですよね。