原発に対する意見をパブリックコメントで伝えましょう


1 パブリックコメント募集中

12月13日付で、「エネルギー基本計画」の改正案がまとめられました。
これはエネルギー政策の指針となるもので、「エネルギー政策基本法」という法律に基づいて
3年に1度見直すことになっています。

いまこの計画案に対するパブリックコメントが募集されています。
締め切りは来年1月6日までなので、あとわずか。
インターネットで簡単に意見を提出することができるので、是非あなたの声を届けましょう。

2 エネルギー基本計画案の内容~原発は「基盤となる重要なベース電源」

「エネルギー基本計画」案は64頁もあって全部を読むのは大変なので、ポイントを以下にまとめます。

まず、原子力発電の「位置づけ」について、「安全性の確保を大前提に引き続き活用していく、
エネルギー需給構造の安定性を支える基盤となる重要なベース電源」としています。「原発ゼロ」の方針からの大転換です。

また、「政策の方向性」として、「新規制基準の下で安全性が確認された原子力発電所については、再稼働を進める」とし、再稼働を進める方針を明確にしています。
さらに、「必要とされる規模を十分に見極めて、その規模を確保する」とも記載しています。
これは、既存の原発の再稼働だけではなく、新設・増設にも含みを持たせた表現です。

加えて、「核燃料サイクル政策については・・・着実に推進する」とも書かれています。

3 昨年の議論も、今の世論も無視

1年半前のことを思い出してみましょう。

2012年6月、当時の野田政権は、原子力発電の望ましい比率について0%、15%、30%の3つの選択肢を提示して、パブリックコメントの募集を行いました。これに対して約9万件のコメントが寄せられ、そのうちの約9割が「原発ゼロ」を求める内容でした。

また、全国各地で市民参加型の意見公聴会が開催されました。電力会社の「やらせ」が問題になったりもしましたが、それでも約7割の意見が「原発ゼロ」を求めるものでした。

こうした議論を経て、2012年9月に作られた「革新的エネルギー・環境政策」のなかで、「2030年代に原発ゼロ」という方針が謳われたのです。「2030年代に」というのは中途半端でしたが、国民の声が「原発ゼロ」を決めさせたことは間違いありません。

しかしこうした経緯は、今回の案をつくった「総合資源エネルギー調査会基本政策分科会」では、まったく触れられず、配布資料にも記載されていません。分科会のメンバーである辰巳菊子氏(日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会常任顧問)は、この点を批判し、国民の声を聴くために公聴会を開催するよう求めましたが、受け入れられませんでした。

4 もう一度世論をはっきり示す必要があります

原子力規制委員会の田中俊一委員長は、新しい規制基準について「安全基準ではない」「原発を動かすための最低基準だ」とはっきり言っています。規制基準を満たしたから安全だとはとてもいえないわけです。それでも「計画案」では、基準をクリアすれば再稼働するし、必要があれば新設・増設もありうると言っています。

さらには、1990年代からトラブルが続き、誰の目にも破綻が明らかな核燃料サイクルにさらに税金を投入し続けると言っています。

「こんなひどい内容なら、わざわざ自分がコメントしなくても、また「反対」の声が圧倒的多数になるんじゃない?」と思ってしまいますよね。でも、電力会社をはじめ、「原子力ムラ」の人々は
間違いなく「賛成」の立場からのコメントを大量に寄せているはずです。万が一、「賛成」が「反対」を上回ればこの馬鹿げた「基本計画」にお墨付きが与えられたということになってしまいます。

あなたがこの基本計画に反対でも、コメントを寄せなければ、その意思は絶対に伝わりません。字数制限(2000文字)があるので、そんなにたくさん書く必要はありません。結論と理由を簡単に書けばそれで十分です。「冬休みの宿題」という感覚で是非コメントしましょう。