1 現状をどう見るか
(1)国会内では圧倒的多数→強行採決が可能
国会内では、与党(自民党+公明党)が圧倒的多数を占めています。
このため、数字のうえでは、与党だけで強行採決することができますし、
60日以内に参議院が決議しなければ、衆議院で再議決をして
法律を成立させることもできます。
- 衆議院:475議席中326議席(3分の2以上)
- 参議院:242議席中135議席(過半数)
(2)政府支持率を下げることが鍵
このため、「強行採決させないこと」が目標となります。
そのために何ができるでしょうか?
鍵を握るのは、政府の支持率です。
国会内で多数を占めていても、議員は選挙で選ばれている以上、
国民世論を完全に無視することはできません。
世論の反発が強ければ、与党議員も
「この総理のもとでは選挙をたたかえない」
「この法案を強行採決すれば次の選挙で落ちる」と感じ、
慎重なスタンスをとらざるを得なくなります。
その際のわかりやすい指標が、政府の支持率です。
「4割を切ると強行採決はやりにくくなる」
「3割を切ると危険水域で、解散風が吹く」
などと言われたりします。
(3)支持率が下がりはじめた
これまでは、政府がすすめようとしている主要な政策のほとんどについて
国民の多数が反対しているのに、
何故か政府の支持率はあまり下がりませんでした。
少し下がっても、内閣改造をしたり、解散総選挙をしたりして
目先を変えることで支持率が上がるということが繰り返されてきました。
しかし、ここにきて、その支持率が急落し、
あと少しで不支持が支持を上回るというところまできました。
強行採決させないためには、さらに支持率を下げる必要があります。
*7月15日追記
今日の衆議院特別委員会で、法案が強行採決されました。
これは、各種世論調査で軒並み支持率が低下し、不支持率と逆転する状況下で、
時間が経てば経つほど支持率が下がり、法案を成立させることが難しくなるという
見通しのもとになされたものです。
国民は着実に政府を追い詰めてます。ここからの取り組みがさらに重要です。
*7月19日追記
衆議院本会議でも、与党のみで採決が強行されました。
今後法律を成立させるには、以下のいずれかによることが必要です。
(1)参議院で議決する(過半数)、
(2)60日以内に参議院が議決しない場合に、衆議院で再議決する(3分の2以上)
このため、以下の2つが今後の目標となります。
(1)参議院で議決させないこと、(2)衆議院で再議決させないこと
自民党だけでは、参議院の過半数、衆議院の3分の2のいずれにも届かないので、
(参議院:過半数=122、自民115 衆議院:3分の2=317、自民291)
公明党が協力しなければ、法律は成立しません。
「声を届ける」取り組みでは、与党、とりわけ公明党への働きかけが重要度を増しています。
*9月3日追記
全国一斉行動など、大規模な取り組みを展開するのと同時に、
地元選出の与党議員に声を届ける活動に集中的に取り組む必要があります。
8月30日の大規模な取り組みにより、世論が可視化されたことで、
与党議員にも迷いや焦り、ためらいの気持ちが出始めています。
この機を逃さずに、電話・FAX・メールで、直接声を届けましょう。
衆議院で再議決される可能性も残されていますので、
衆議院議員も「声を届ける」対象に入れるべきでしょう。
*9月15日追記
政府・与党は、16日の地方公聴会終了後に、
議員が東京にもどって、その日のうちに特別委員会で採決を強行し、
17日(ないし18日)には本会議で採決するというスケジュールを描いているようです。
これを止めるためには、以下の3つの段階それぞれで、的を絞った取組をする必要があります。
①16日に特別委員会を開催させないこと、
②17日の特別委員会で採決させないこと、
③(17日ないし18日の)参議院本会議で採決させないこと、
具体的には、
①との関係では、鴻池参議院特別委員会委員長に対する働きかけが、
②との関係では、参議院特別委員会の委員に対する働きかけが、
③との関係では、地元選出の参議院議員に対する働きかけが、
とても重要です。
これまでは、与党議員に反対の声を伝えることを強調してきましたが、
③との関係で、野党・特に民主党への励ましがポイントになりそうです。
報道によれば、民主党の枝野幹事長は、国民世論を見極めながら戦術を考えると説明をしています。
牛歩戦術などをすると、世論の反発を受けるのではないかという懸念があるのでしょう。
しかし、憲法違反の法案をつくる権限は誰にもない訳ですから、
牛歩も含めてあらゆる手段を通じて成立に抵抗して欲しいという激励を民主党に寄せましょう。
なお、議員の連絡先は、りぼん・ぷろじぇくと2015から探すことができます。
また、議員に働きかけをするうえでのポイントもこちらでまとめてくれています。
情勢は流動的です。
参議院での採決が難しいとなれば、衆議院での再議決に切り替わります。
常に最新の情報を確認しつつ、情勢にかみあった取組をすすめましょう。
*12月25日付追記
10月7日付で、「安保法制を廃止するための方法」について書いています。
あわせてご覧いただければ幸いです。
2 声を広げる
支持率を下げるためには、法案の問題点を広く知ってもらうことが重要です。
いろいろな方法がありますが、主なものを以下にまとめました。
(1)メディアを通じて
効果があるのにあまり意識されていないのが、メディアに対する働きかけです。
例えば、「報道ステーション」の古舘キャスターは、
「番組に寄せられる声にはすべて目を通す」と公言していますし、
新聞記者の方からも、
書いた記事が削られたり載らなかったりするとのお話を聞くことがあります。
よい報道があった場合には、
政府から有形無形の圧力を受けながらがんばっている現場の方に
励ましのメッセージを送りましょう。
「時間がないから、よい報道を自分で探すのは大変」という方には、
憲法擁護fbチームなどでまとめてチェックするのがオススメ。
また、報道番組(ニュース番組)だけではなく、
ワイドショーや情報番組で取り上げられるようになると一気に温度が変わります。
こうした番組へのはたらきかけも必要です。
もちろん、例えば要所要所で国会中継をサボタージュしたりするNHKに対しては
抗議の声を届けることも重要です。
各種メディアへの連絡先は、りぼん・ぷろじぇくと2015にまとめられています。
(2)アピール行動で
反対の意思をアピールする方法も様々あります。
パレード、アピールウォーク、宣伝・署名活動もありますが、
手間もお金もほとんどかけずに、
1人でもできる方法として注目されているのが
サイレントスタンディングです。
駅前など人通りが多いところや、車通りが多い道の歩道などで、
パネル、プラカード、のぼりなどを持って立っているだけ。
プラカードは、SEALDs、総がかり行動実行委員会、プラカードギャラリーなどから
無料でダウンロードできます。
アピール行動をする場合には、
「#ピーススタンディング」「#安保法制反対アピール」などをつけて
SNSで発信したり、ツイキャスしたりすると、
ネット上でも目につく機会を増やすことができます。
また、「近くでパレードとかの予定ないのかな~?」という場合には、
りぼん・ぷろじぇくと2015や、マガジン9条の会から探してみてください。
自分で開催する場合には、これらのサイトに情報を伝えて、
掲載してもらえれば、情報の発信力が強まりそうです。
*7月6日追記
パレード、アピールウオーク、デモなどを企画したいけれどやり方がわからないという方は、
りぼん・ぷろじぇくと2015がつくってくれたマニュアルをご覧ください。
(3)学習会などで
複雑な法案の問題点を自分だけで理解するのはなかなか大変です。
講師がわかりやすく話してくれる学習会などで
ポイントをまとめて理解しちゃいましょう。
講師のお申し込みは、
明日の自由を守る若手弁護士の会(あすわか)にご連絡いただくか、
新潟県弁護士会(県民の方)の憲法講師派遣制度をご利用ください。
*7月19日追記
憲法学者が「出前講義」をする画期的な制度がスタートしました。
名簿には、豪華講師陣が登録されていますので、積極的に利用しましょう。
(4)各種宣伝用ツールを使って
自分で話すのは苦手という方は、宣伝用ツールを使って伝えましょう。
アンポンタンマンガ、あすわかリーフ、
自民党作成ビラのカウンタービラ、SEALDsのリーフなど
法案の問題点をわかりやすくまとめた宣伝用ツールがたくさんあります。
いろいろ探してみるのも楽しいかも知れませんね。
*6月26日追記 各種リンク先のQRコードを一覧表にしたPDFをアップします。
アクションリスト・リンク先QRコード一覧改訂版
3 声を届ける
また、声を広げるだけではなく、声を届けることも重要です。
届ける先は、政党、国会議員(特に地元選出議員)、官邸です。
*9月7日追記
9月16日にも参議院の委員会と本会議で採決予定と報道されています。
暴走採決をさせないために、キーパーソンと思われる9人に
声を届けようということで、暴走採決させ9(ナイン)リストというものが
あると教えてもらいましたので、リンクをはっておきます。
(1)政党
与党に対しては、
「憲法違反の法律は撤回して」
「必要性とリスクをきちんと説明して欲しい」
「強行採決は絶対だめ」等の声を届けましょう。
維新に対しては
「他の野党と協力して廃案を求めて」
「修正協議に応じるのは反対」
「今国会での成立に反対という方針を貫いて」
等の声を届けることが重要です。
他の野党に対しては、
「○日の質問はよかった」「引き続きがんばって」等
励ましの声を届けましょう。
(2)国会議員
国会議員は、地元の有権者の動向を気にしています。
地元選出の国会議員に要請することが重要です。
議員が地元の集まりに顔を出した際などに、直接声を届けましょう。
電話、メール、FAXなどで声を届けることも可能です。
また、法案は国会の特別委員会で審議されていますので、
この委員会に所属している議員に要請することも大切です。
地元選出議員、特別委員会所属議員は、
りぼん・ぷろじぇくと2015から探すことができます。
*6月25日追記
秘密保護法の審議の際、法案に反対の立場の議員にも激励の電話やFAXが殺到し、
業務に支障がでるほどだったというご連絡をいただきました。
状況によっては、メール、電報、郵送などの方法を選んだ方がよいかも知れません。
*8月20日追記
りぼん・ぷろじぇくと2015では、改選対象議員の連絡先も簡単に調べることができます。
安保関連法案に反対するママの会@石川のみなさんがやっているように、
身近な人と一緒に書き込んだメッセージボードを届けて、
面談した議員と記念撮影してSNSで報告すると、広がりのある取組になりますね。
(3)官邸
首相官邸にも、メールで直接声を届けることができます。
「憲法違反の法律は撤回を」などの声をこちらから送りましょう。
*7月24日追記
今日付の東京新聞朝刊・「こちら特報部」で、
ちょっぴりですが、このブログが紹介されました。
*9月7日追記
9月6日付の北海道新聞で、このブログが紹介されました。
*9月15日追記
雑誌「世界」2015年10月号に、このブログを紹介した拙文を載せていただきました。