つれづれ語り(子どものスマホ、ゲーム機利用)


『上越よみうり』に連載中のコラム、「田中弁護士のつれづれ語り」。

本日付朝刊に掲載された28回目は、子どものスマホ、ゲーム機利用についてです。
いまどき、猫も杓子もネットにつながる時代なので(ちょっと言い過ぎ)、大人も子どももリスクをよく知っておく必要がありますね。

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子どものスマホ、ゲーム機利用で気をつけることは?

みなさんのお宅では,子どもや孫にスマートフォンやゲーム機などを与えているでしょうか? 

現在,児童生徒の8割がインターネットに接続できる機器を所持し,中学生の65%がLINEなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を利用したことがあるそうです。

我が家の長男も,「友だちがみんなゲーム機を持っているので,自分も欲しい」と言い出しています。ただ,最近のゲーム機はインターネットに接続でき,SNSを利用できるなど,スマホと変わらない性能を持っています。

そこで今回は,子どもにスマートフォンやゲーム機等を利用させる際,注意すべき法的トラブルについて見ていきたいと思います。

1 個人情報の漏洩

⑴ 子どもの無防備さが原因の場合

子ども達は,友人同士での利用や単にゲームをしているにすぎないと勘違いしたまま,個人的な情報を全世界に向けて発信している場合があります。SNSに無防備に住所,学校,性別,趣味,嗜好を記載し,写真や動画を投稿すれば,個々の情報を積み重ねることで簡単に個人が特定されてしまいます。これにより子どもが付きまといを受けたり,空き巣被害に遭ったりするケースが発生しています。

⑵ 不正アプリや悪質な無料Wi-Fiスポットなどが原因の場合

スマートフォンでは多種多様なアプリのインストールができますが,不正アプリのインストールにより個人情報が流出する場合があります。また,無料でインターネットに接続できるWi-Fiスポットの中には,通信傍受やID・パスワードの窃取を目的に設置されたものがあります。スマートフォンが自動でWi-Fiに接続される設定になっていると気付かない間に被害を受ける場合があるため注意が必要です。

2 成りすまし被害

SNSでは,悪意のある大人が,子どもを装って利用登録したり,盗み取ったIDやパスワードで特定の子どもに成りすましたりして投稿している場合があります。

同じ年頃の子どもだと信じて意気投合し,気軽に遊びに行く約束をしたところ,出かけた先で犯罪やトラブルに巻き込まれるケースが年々増加しているようです。

3 プライバシー侵害,名誉毀損等

子どもは,自分の学校生活,友人との交流や自身の悩みをSNSに書き込むときに,学校名や友人の名前など他人の個人情報を書き込むことがあります。しかし,これらも他の情報と重なれば個人が特定されてしまう場合があり,本人の了解なく行えばプライバシー侵害として不法行為による損害賠償請求の対象となることに留意する必要があります。また,他人の悪口などはネットいじめにつながるだけでなく,名誉毀損に該当する場合もありますし,本人の了解なく他人の写真や動画を掲載すると肖像権やパブリシティ権侵害に該当する場合もありますので,注意が必要です。

4 著作権侵害

多くの人々が利用している動画共有サイトですが、子供たちがアニメや映画などを無許可でアップロードし、著作権侵害となるケースが起きています。また,違法サイトだと知りながらダウンロードした場合,個人で楽しむ目的であっても違法となります。2年以下の懲役、または200万円以下の罰金(またはその両方)が課される場合がありますので,気をつけましょう。