憲法改正問題に関するメディア懇談会・懇親会


憲法委員会の呼びかけで

10月9日(火)、憲法改正問題に関するメディア懇談会・懇親会を開催しました。

県弁護士会の憲法改正問題特別委員会が主催して、県内のメディア関係者のみなさんに呼びかけをしたところ、5社から16人の方が参加してくださいました。

総会決議に関する説明

県弁護士会の小泉一樹会長からご挨拶いただいた後、今年5月の定期総会で採択した総会決議について、私から内容を説明をしました。

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決議の内容については、県弁護士会のホームページに全文が掲載されていますので、ぜひそちらをお読みいただきたいと思いますが、自民党内で議論されている憲法9条の改正案について、「平和主義」と「立憲主義」という2つの角度から問題点を解明しています。また、国民投票法にも改正すべき点があることを指摘しています。

総会当日には15分程度しか説明時間がなかったのですが、この日の説明には結局1時間近くかかったので、単純計算で4倍くらい濃密な説明をしたことになります(笑)。

中立性の確保

その後、質疑応答や意見交換を行いました。

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興味深いお話をたくさん聞くことができ、どれも大変参考になったのですが、特に印象に残ったのは、複数の方が「取り上げなければならない問題だと感じてはいるが、切り口が難しい」と語っていたことでした。「民意が割れているもとで中立性をどのように図っていくべきか」という点が悩みどころの様でした。

この点についてもいろいろな意見が出されましたが、私からは概ね以下の様なお話をしました。

  • 政府が、「憲法に自衛隊を書き込んでも何も変わらない」という、事実とは異なる誤った説明をしているために、そもそもどういう問題であるのかが見えづらくなっている
  • そういうもとで、例えば賛成・反対の両論を併記したとしても理解は深まらないし、中立とも言えないのではないか
  • まずは事実に基づいて問題の本質を解き明かし、わかりやすく伝えていくことが必要であるし、それこそがメディアに求められていることなのではないか

要するに、「賛成か反対かについて考えるためにも、まずはどういう問題なのかをきちんと知りましょう(知らせましょう)」ということです。

読んでもらえるか

切り口を悩むもう1つの理由は、読者に読んでもらえるかどうかという点にもある様でした。

「問題の本質を伝えなければならないと思うが、こういうテーマについては切り口を工夫しないと読んでもらえない」という悩みです。この点については、別の機会に別のメディア関係者とお話したときにも、同様の問題意識を持っていらっしゃいました。

最近は新聞記事もネット配信されるので、ページビュー数を見ることで、どの記事がどのくらい読まれているのか、分かるようになっています。新聞業界全体が厳しい状況に置かれているなかで、「内容が重要なものであるかどうか」というこれまでの尺度に加えて、「多くの人に読まれる記事であるかどうか」という尺度が登場し、徐々に比重を増してきているとのこと。

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こちらはどちらかというと私たち情報の受け手側の問題という側面もあって、なかなか難しい問題だと感じました。

ただ、このままでは、ページビュー数がテレビにおける視聴率の様に、絶対的な基準として作用するようになり、報道内容の重要性よりも重視されるようになってしまうことも懸念されます。報道機関としての本来的役割を引き続き果たしてもらえるように、視聴者や読者として声を届けていくことが重要だと感じました。そのことは、主権者として選挙権や請願権を行使するのにも似ていますね。

その後の懇親会ではざっくばらんに楽しく交流することができました。せっかくお近づきになれたので、引き続きいろいろな形で交流を深めていけたらと思っています。