秘密保護法で情報統制のおそれ


1 藤原紀香さんがブログで異例の表明

女優の藤原紀香さんが、自身のブログで、「秘密保護法」について懸念の声を上げています。
その抜粋を以下に貼り付けます。

秘密保全法案を、各所で読んでみたらその適用範囲が曖昧なので、そのようなスパイ行為にあたるものだけでなく、国が‘この案件は国家機密である’と決めたことに関しては、国民には全く知らされないことになり、放射能汚染、被爆などのことや、他に、もし国に都合よく隠したい問題があって、それが適用されれば、私たちは知るすべもなく、しかも真実をネットなどに書いた人は罰せられてしまう。。。なんて恐ろしいことになる可能性も考えられるというので、とても不安です(>_<)
もちろん、日本を陥れるべくスパイ行為を働いた輩には罰を与えるべきだと思うし、そのようなスパイ行為が起きないよう なんらかの法案が必要となるとは思います。
が、原発の問題や放射能の問題は、国民が知るべきことだと思うので、その国家機密にあたる範囲がどこまでなのか、曖昧なのが問題なのだと思います。 上記のURLの日経新聞の社説にも書いてありますが、「国の情報は公開が大原則のはず。」 そうですよね、国民は知る権利があると思います~

 このまま施行されてしまうと、「日本の国土がどれくらい汚染されたのか明らかにしたい」ということさえ、タブーになってしまう可能性があるとのこと。 国が、これらを「特定秘密」に指定すれば、反対の声を挙げている人たちや、真実を知ろうとして民間で調査している人やマスコミ関係者などが逮捕されてしまう可能性があるって。。。日本は民主主義国家ではなくなってしまうのかな(T_T)

2 どんな法律?

藤原紀香さんが懸念している「秘密保護法」とはどんな法律なのでしょうか。

簡単にいえば、「政府が『特定秘密』に指定した情報を漏らした人や、知ろうとした人を処罰する」法律です。「特定秘密」の対象となるのは、①防衛 ②外交 ③スパイ活動の防止 ④テロ活動の防止に関する情報であるとされています。
ただ、「行政機関の長」が自由に指定できるので、行政機関にとって不都合なことはすべて「秘密」に指定して隠してしまう可能性があります。

情報管理や秘密と聞いて思い出されるのは、福島第一原発事故のとき、放射性物質の拡散状態を予測する装置(SPEEDI)の情報が、米軍には提供されていたのに、国民には提供されなかった出来事です。このため住民の一部は、放射線量の高い地域に避難することとなり、避難先で被曝することとなってしまいました。

私たちの生活や健康・命に関わる重大事であっても、秘密にするのが行政の体質です。
法改正をするのであれば、むしろ適切に情報が公開される方向でこそなされるべきです。

仮に秘密保護法が成立した場合、例えば、「福島第一原発の汚染水漏れ」などの情報は、原発関連情報→④「テロ活動の防止に関する情報」→「特定秘密」に指定ということになるでしょう。そして、汚染水漏れの実態を告発した現場作業員や、それを取材して報道したメディア、情報をインターネットに書き込んだ市民までもが処罰されてしまうおそれがあります。

「特定秘密」は国が一方的に指定し、何が指定されたかも明かされません。秘密保護法では、「未遂」や「過失」も処罰対象となっているので、意図せずに誤って情報に触れてしまった人ですら、逮捕されてしまうおそれがあります。

3 何が目的?

そもそも政府は、どうしてこんな法律を制定しようとしているのでしょうか。

直接のきっかけは、アメリカの要求です。
日本は、2007年にアメリカとの間で軍事情報包括協定を締結しています。日本とアメリカの軍事的な一体化をすすめるうえで、国家戦略や軍事情報を共有する必要があり、その前提としてアメリカと同等の秘密保護法制を要求されたわけです。
つまり、「(アメリカと一緒に)戦争をしやすくするために、軍事に関わることは全部秘密にする」という点に目的があります。

このアメリカからの要求に呼応して、政府は、集団的自衛権(アメリカと一緒に軍事行動すること)の行使を可能にするための法整備をすすめようとしています。その法体系の最上位に位置するのが、「国家安全保障基本法(案)」です。この法案には、集団的自衛権を行使できるようにするための準備として、「国家安全保障会議」の設置と、「秘密保護法」の制定が定められています。

政府は、今国会で「国家安全保障会議設置法」と「秘密保護法」を成立させ、来年の通常国会で「国家安全保障基本法」を成立させたいとしています。

4 反対の声

この法律の考え方は、完全に「逆立ち」しています。主権者は国民です。
つまり、国政の重要な事項についての最終的な決定権は国民が持っているわけです。
その決定権者である国民に、十分な情報が与えられていなければ、正しい選択ができるわけがないのです。だからこそ、「国の情報は公開が大原則」なのです。
例外を設けるとしても、明確な線引き、客観的な審査が必要なはずです。

ところが、この法律では国が秘密を指定するため、「大きな例外」を自由につくりだすことが可能です。政権に都合の悪い情報は内緒にしておいて、支持を得る。そうなってしまえば、日本は民主主義国家とは呼べなくなります。

このように重大な欠陥をもつ法案に対して、多くの学者・研究者が反対の声を上げています。
憲法・メディア法研究者の声明には142人の学者・研究者が、刑事法研究者の声明には123人の 学者・研究者が名を連ねました。

憲法・メディア法研究者の声明の呼びかけ人の1人である山内敏弘一橋大名誉教授 は、「憲法の3つの基本原理である基本的人権、国民主権、平和主義と真っ向から衝突し侵害する」としています。

また 刑事法研究者の声明の呼びかけ人の1人である村井敏邦一橋大名誉教授は、「戦前の軍機保護法と同じ性格。戦前の影響を考えれば、刑事法学者は絶対反対しなければならない」としています。

5 今国会にも成立か

国家安全保障会議設置法」は、11月7日にも衆議院を通過する見込みで、今国会での成立が確実と報道されています。また、「秘密保護法」も11月7日に審議入り予定と報じられています。

各地で反対集会などが予定されています。様々な形で反対の声を届けることが必要です。

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