わかりやすく伝えること


作家の井上ひさしさんの言葉に、「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく」というものがあります。

私もこのブログで、少なくとも自分の専門分野に関わることについては、
なるべくわかりやすくお伝えしたいと思っているのですが、
「むずかしいことをやさしく伝えることの難しさ」を日々感じています。

そんななか、「憲法改正」や「原発事故」など、とても難解な分野について、
わかりやすく表現することに挑戦し、成功しているホームページを見つけたのでご紹介します。

 1 「憲法改正」についてマンガで

1つめは、「豊橋いのちと未来を守る会」のホームページです。

「そもそも憲法は何のためにあるのか」、「どうして憲法を変えようとしているのか」、
「憲法を変えるとどうなるのか」といった点について、
マンガ形式でとてもわかりやすくまとめられています(ちゃんと知らなきゃ大変だ)。

このホームページが成功している秘訣は、「マンガ」という表現手法もさることながら、
徹底して「情報の受け手」目線で描かれている点にあるのではないかと思います。

どんなにわかりやすく表現しようとしていても、押しつけがましかったり、上から目線になっていたりすると、
受け入れがたくなってしまいます。
受け手側の素朴な疑問を受けて、それに正面から応える形で説明がなされる。
決して押しつけはせず、共感を伴いながら深い内容が語られているところが素晴らしいです。

私も憲法の学習会などで講師を務めることがありますが、見習わなければならないと思いました。

2 福島第一原発事故について動画で

もう1つは、「わかりやすいプロジェクト国会事故調編」です。

福島第一原発事故の「国会事故調査委員会」の報告書の内容が、
わかりやすい動画にまとめられています(わかりやすいプロジェクト国会事故調編)。

また、動画のほかにも、ストーリーブックの形式にまとめたものもアップされています
(「わかりやすい国会事故調査報告書(STORY BOOK)」)。

福島第一原発事故をめぐっては、国会、政府、民間のそれぞれに事故調査委員会がつくられ、
大部の報告書が作成されました。
各調査委員会は、大変な苦労を重ね、知恵を絞って調査がなされたものと推察されますが、
いずれも数百頁に及ぶことから、すべてに目を通すのは至難の業です。

このプロジェクトが作った「動画」や「STORY BOOK」は、
「これだけですべてがわかる」というようなものではありませんが、
「何が起こったのか」、「事故は防げなかったのか」、「事故から引き出すべき教訓は何か」等、
基本的でありながら重要な事項を学んでいく導入としてはとても優れたものだと思います。

ABOUT US」に記載されているプロジェクトの目的を、以下に引用しておきます。

私たちは、おそらく将来も世界史の教科書に残る福島原発事故の教訓から学ぶことが、これからの日本のために、とても大切なことであると考えています。私たちは、原発事故の事実をまっすぐに見つめ、議論と対話を積み重ねることで、未来に関わる選択と意思決定を行いたいと考える良識ある人々が繋がることが、日本の未来にとって、とても大切なことだと考えています。  

私たちは、以下の5つの問いに対する対話が、日本中で行われることを願っています。             福島原発事故では何が起こったのか。                                           福島原発事故の教訓とは何か。                                               何を残し、何をどう変えていかなければならないのか。                                 どれだけの選択肢があり、選択肢がもたらす価値は何か。                               短期的な視点と、長期的な視点で、私たちは個々人として何をするのか。

私たちは、最初の2つの問い「福島原発事故では何が起こったのか」「福島原発事故の教訓とは何か」を、一人でも多くの方たちと共有するために、情報発信や対話の場づくりを始めています。対話に参加して欲しいのは、未来を担う中学生、高校生、大学生、社会人です。                               国会事故調報告書はこう述べています。「福島原子力発電所事故は終わっていない。不断の改革の努力を尽くすことこそが国民から未来を託された国会議員、国民一人一人の使命であると当委員会は確信する。」  一人一人の使命とは何かを一緒に考えませんか。

国会事故調の調査統括補佐を勤められた方や弁護士も関わっているようですが、
学生有志が中心となって議論して作ったとのこと。
プロジェクトメンバーの志の高さと、成果物のクオリティの高さに舌を巻きました。
プロジェクトメンバーのみなさんの真摯な問いかけに応えて、
学び、考え、行動していかなければならないと思います。